5月26日 (日) 休日診療当番日 曇り
厚くもなく寒くもない、野外活動に適した日曜日ですが、当番日のため診療中です。
気温が安定してきたせいか、風邪で来院する患者さんもこの数日少なくなりました。今年も猛暑の夏が予想されるとのこと、熱中症も増えるかもしれませんが、夏まではしばらくは比較的暇な期間になって行くのかもしれません。
今回の症例は、風邪・熱中症がらみの方ですが、偏った先入観にとらわれて診察することの危険を痛感したため、記憶に残ることとなりました。
当ブログ関連記事: 症例12 高齢者のかぜ?と思って調べてみたら … 急性白血病の症状 http://utida-naika.blog.ocn.ne.jp/blog/2012/06/post_5057.html
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大柄でみるからに壮健そうな中年男性が、外来診察終了間際に受診されました。
週末晴れた日に屋外で作業してからめまい・ふらつきを自覚、食欲がなく、階段を上ると動悸もひどいとの訴えでした。咳・痰、のどの痛みや鼻水はないとのこと。
大体、診察の終わり際に来る患者さんは、救急搬送が必要だったりして、一筋縄でいかない症例が多い、という経験則を小生は持っています。
そこで疑り深く診察してみると、まず体が熱い。咳や痰を伴っていなかったため、本人には発熱しているという自覚はありませんでしたが、計測すると
38度以上の発熱。 またその他
口腔内に内出血もあり、
かゆくもないのに体に赤い点状の発疹が出て、
ぶつけてもいないのに、四肢のところどころ青タンになっている…。
問診の段階では当初、めまいの対症療法と解熱剤を出して様子を見るつもりでしたが、ちょっと、いや、かなりおかしい、何か引っかかります。店じまいの準備を中断して、はしょった診察はやめ、いつものように 「とりあえず採血」 をしてみてびっくり!
白血球が3万以上(正常では9000以下)と著増、血小板が2万以下(正常では15万前後)と著減(再検済)!
白血球は体の外から侵入する細菌に対抗する細胞ですが、小生の経験では感染による増加はせいぜい2万まで…。
血小板は出血した際、血液を固めて止血するための細胞ですが、15万以下だと減少を疑うことになります。肝硬変の方は、5万前後に減少することが多いのですが、2万を切ると出血傾向がみられるようになります。
以上の経過と身体所見、検査所見を踏まえると、教科書的に第一に疑うべきは
”急性前骨髄急性白血病 と DIC (播種性血管内凝固症候群)”
という病気です。
念のため、腹部エコーを見ると、脾腫は軽度で慢性の白血病は否定的?と考え、すぐ血液内科の専門医のいる総合病院に紹介しました。
後日、専門医からの連絡では、急性骨髄急性白血病 で即日入院になったとのお返事でした。
うーむ、終了間際の患者、恐るべし! やはり油断はできない…
今日も冷や汗をかきながら、地雷原をさまようがごとく、地域医療にために邁進しております…(^_^;)。
気温が安定してきたせいか、風邪で来院する患者さんもこの数日少なくなりました。今年も猛暑の夏が予想されるとのこと、熱中症も増えるかもしれませんが、夏まではしばらくは比較的暇な期間になって行くのかもしれません。
今回の症例は、風邪・熱中症がらみの方ですが、偏った先入観にとらわれて診察することの危険を痛感したため、記憶に残ることとなりました。
当ブログ関連記事: 症例12 高齢者のかぜ?と思って調べてみたら … 急性白血病の症状 http://utida-naika.blog.ocn.ne.jp/blog/2012/06/post_5057.html
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大柄でみるからに壮健そうな中年男性が、外来診察終了間際に受診されました。
週末晴れた日に屋外で作業してからめまい・ふらつきを自覚、食欲がなく、階段を上ると動悸もひどいとの訴えでした。咳・痰、のどの痛みや鼻水はないとのこと。
大体、診察の終わり際に来る患者さんは、救急搬送が必要だったりして、一筋縄でいかない症例が多い、という経験則を小生は持っています。
そこで疑り深く診察してみると、まず体が熱い。咳や痰を伴っていなかったため、本人には発熱しているという自覚はありませんでしたが、計測すると
38度以上の発熱。 またその他
口腔内に内出血もあり、
かゆくもないのに体に赤い点状の発疹が出て、
ぶつけてもいないのに、四肢のところどころ青タンになっている…。
問診の段階では当初、めまいの対症療法と解熱剤を出して様子を見るつもりでしたが、ちょっと、いや、かなりおかしい、何か引っかかります。店じまいの準備を中断して、はしょった診察はやめ、いつものように 「とりあえず採血」 をしてみてびっくり!
白血球が3万以上(正常では9000以下)と著増、血小板が2万以下(正常では15万前後)と著減(再検済)!
白血球は体の外から侵入する細菌に対抗する細胞ですが、小生の経験では感染による増加はせいぜい2万まで…。
血小板は出血した際、血液を固めて止血するための細胞ですが、15万以下だと減少を疑うことになります。肝硬変の方は、5万前後に減少することが多いのですが、2万を切ると出血傾向がみられるようになります。
以上の経過と身体所見、検査所見を踏まえると、教科書的に第一に疑うべきは
”急性前骨髄急性白血病 と DIC (播種性血管内凝固症候群)”
という病気です。
念のため、腹部エコーを見ると、脾腫は軽度で慢性の白血病は否定的?と考え、すぐ血液内科の専門医のいる総合病院に紹介しました。
後日、専門医からの連絡では、急性骨髄急性白血病 で即日入院になったとのお返事でした。
うーむ、終了間際の患者、恐るべし! やはり油断はできない…
今日も冷や汗をかきながら、地雷原をさまようがごとく、地域医療にために邁進しております…(^_^;)。
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