2014年8月11日月曜日

動悸の原因…心臓病ばかりとは限りません    2013年5月2日 記事


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5月2日(木) 曇り

 風薫る5月になりましたが、あいにく冷たい風が吹く曇りのです。世の中はゴールデンウィーク、連休を満喫していらっしゃる方がうらやましい限りです。

 連休中だからと言って旅行なんてもってのほかの小生ですが、少しばかり近場をうろうろしてきました。旧豊栄市街のイタリア料理店にいって、豊栄名物のトマトを使った美味しいピザを食べてきましたし、弥彦神社の参拝にも行ってきました。遠出しなくともそれなりに気晴らしができました。

 でもそのあとがいただけない。どうも4月30日の診察時に風邪をもらってしまったようです。とほほ。

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 さて、しばらくぶりのブログ記事更新、今回は動悸の原因についてです。

 緊張してもいないのに安静時に心臓がどきどきする場合、まず第一に不整脈を疑います。心不全や、糖尿病の患者さんの場合は狭心症などの異常があるかもしれません。

 そこで開業医レベルでは、心電図や胸部X線写真を調べ、異常な波形や心臓の拡大がないかをチェックします。その後必要に応じて病院などで24時間ホルター心電図や心エコーも調べます。以上の検査で何らかの異常が見つかると、心臓の専門医(循環器内科)が治療を行う、という流れが一般的かと思います。

 ただ、心臓病のほかにも動悸をきたす疾患があることを忘れてはいけません。小生が経験した、動悸が原因で見つかった心臓病以外の3症例を提示します。
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症例1 30歳代 女性 

 1か月前から、体がなんとなくだるくなり、動悸・微熱を自覚するようになった。胸や腹部のあちこちが痛くなり、夜も眠れなかったという。食欲は正常で便通も異常なし、体重減少もなし。とりあえず検査してほしいといい当科を受診。

 面談時落ち着きがなく、話にまとまりがない印象を受けた。診察時、前頸部の腫大ははっきりせず。顔色は普通。胸腹部異常なし。

 心電図では心拍数90台とやや心悸亢進。採血にて貧血、炎症なし。

 念のため、甲状腺機能を調べたところ、甲状腺機能亢進状態と判明し専門医に紹介、抗甲状腺薬で治療をうけ、症状は軽快。

症例2 60歳代 女性

 数年前から時々動悸を自覚し夜眠れなくなるといい、検査を希望して来院。

 全身の不調・不定愁訴を一方的に話し続ける。食欲はむらがあり、便通も食事量に応じて変化する。他院から安定剤の頓服を処方され、眠れない時に飲んでいるとのこと。スクリーニング採血、心電図、胸部X線写真は異常なし。

 希望にて行った上部消化管内視鏡検査、腹部エコー検査異常なし。
 精密検査目的に近医にて胸~腹部造影CT検査を受けていただき、異常のないことを確認後、精神科に紹介。

 うつ状態と診断され抗鬱剤内服にて症状は軽快した。

症例3 50歳代 女性

 半年前から体を動かすと動悸が悪化するため、前医で心臓の検査(心電図、胸部X線写真、心エコー、ホルター心電図)と甲状腺ホルモン検査を受けたが異常なし。しかし、動悸が徐々に悪化するため精査のため受診。

 診察時、顔面は蒼白で結膜は貧血著明。食欲異常なく、腹痛・便秘なし。院内採血にてヘモグロビン6台の著明な小球性貧血を認め、鉄剤投与を開始。

 後日、出血源の検索を行い、上行結腸に進行大腸癌を認め専門医に紹介、手術の運びとなった。
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 心臓病以外に動悸を主訴とした疾患で、甲状腺疾患精神疾患癌からの失血による貧血の症例を提示しました。 

 ”後から見るほど名医” の言葉にあるように、時間が経過しないとわからない病気も確かにあります。経験を重ねるにつれて、ドラマでよく医者の口にのぼる ”様子を見る・経過を見る” ことの大切さが実感としてわかるようになりました。

 病院勤めの頃と違い、外来でいろいろな疾患を診断しなけれならないというプレッシャーが開業医にはありますが、でもやりがいもあります。今後も研鑽を怠らないようにしたいと思います。

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