2014年7月29日火曜日

いわゆる ”貧血” にもさまざまなものがあります  2011年8月20日 記事

8月20日(土)

ここのところ曇~雨で日射しが遮られ、涼しく過ごしやすい日が続いています。

ですが、気温の変化に伴い風邪をひくなど、体調を崩した方が昨日多数来院され、ブログをアップする時間がありませんでした m(__)m 。

涼しいときは一枚羽織るなど衣服で体温調節をするようにお願いします。

今日は医学的にみた、いわゆる 「貧血」 の話です。

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 俗に 「貧血」 というと、立ちくらみやめまいを伴い、顔色が蒼くなった状態を指すようで、「脳貧血」 とも言い表されます。

 この症状は、起立性調節障害といい、立ち上がった際に、本来自律神経が下半身の血管を収縮させ、脳への血流を増やす反応が鈍った状態の時に起きます。つまり自律神経がうまく働かないための症状です。
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 一方、医学的的に 「貧血」 とは、血液が薄くなったり、血液中のヘモグロビンという物質(酸素を体中に運搬し二酸化炭素を回収する働きを持つ)が少なくなって、体内が酸欠状態になるため、動悸、息切れ、頭痛、易疲労感など、様々な症状が出る状態のことを指します。

 日常診療では 「鉄欠乏性貧血」 が一番多く見受けられます。

 これはヘモグロビンの原料である体内の鉄分が減少したため、ヘモグロビンが少なくなり、赤血球も小さくなる状態です。

 若い女性では偏食や過多月経などが原因のことがありますが、中年期からは痔、子宮筋腫、胃十二指腸潰瘍などのほか、胃癌・大腸癌などの消化器癌など重大な病気が隠れていることがあり、胃カメラ、大腸ファイバー、CTなどで精密検査が必要です。

 腎臓の機能が低下すると始まる 「腎性貧血」 もよく遭遇します。腎臓からはエリスロポイエチン(EPO)という造血ホルモンが分泌されていますが、腎不全になるとEPOが出なくなるため、貧血になります。

 まれに 「悪性貧血」(名前に驚くかもしれませんが、この貧血の欠乏因子 ビタミンB12 が発見されるまで、患者の多くが死んでいたための名称で、現在はビタミンの定期的注射で治る貧血です)も見られます。

 胃の手術を受けたりして、食品からのビタミンB12の吸収が障害され、赤血球の元になる赤芽球のDNA合成がうまくいかなくなって、赤血球が巨大化し壊されてしまう(無効造血)のがそのメカニズムです。

 そしてごくまれに、白血病や再生不良性貧血など、血液を造る骨髄の異常から発症する貧血もあります。 

 検診で貧血を指摘されたら、まず最寄りの内科にご相談していただきたいと思います。

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