昨日新潟県も梅雨入りしたとの発表がありましたが、今朝も気持ちの良い晴れでした。みなさま、いかがおすごしでしょうか。
先日は中年女性の ”ヒステリー球” についてお話しましたが、今回とりあげるのは高齢男性の ”食道がん” に関することです。
食道がんは、喫煙者や大量飲酒者の高齢男性に多く、同時に喫煙・飲酒を行う習慣のある人は、それらを全くたしなまない人に比べ、20倍~30倍食道がんになりやすいといわれています。
60歳以上のタバコ吸いで酒飲みの男性が
「最近、のどに食べ物がつかえるようになった」
「吐いたものに血が混じる」
「体重がこの3か月で5kg減って、声が嗄(か)れるようになった」
などの症状を訴えたら、小生は第1に食道がんを考えます(声がかれる状態=嗄声;させいは、食道がんによって反回神経という、のどの声帯を支配する神経が影響を受けるため、声帯がうまく機能しなくなるためにおきます)。
食道がんを初期のうちに発見することはかなり難しく、内視鏡専門医でもある程度の大きさにならないと病変を認識することさえできないケースも昔はありましたが、最近は内視鏡機械の発達により、特殊な光を当てて癌部を認識しやすくできるようになりました(そのほか、食道がんの診断の際にはルゴール液を病変部にふりかけて、黄褐色に染まるかどうかをみますが、まれにヨードアレルギーを持つ患者さんがショック状態になることが報告されています)。
食道がんは位置的に心臓や肺、気管といった重要臓器に近いため、転移や浸潤(しんじゅん:がん細胞が多臓器にしみ込み広がること)をきたしやすく、簡単に手術はできませんし、たとえ手術したとしても再発しやすい癌です。
進行した食道がんに対しては照射化学療法(放射線治療と抗がん剤治療を同時に行う)を行ったり、食道の内腔を広げるために金属ステントの留置などを行いますが、なかなか根治的治療にはつながらないのが現状です。
「世界の小澤」 こと、指揮者の小澤征爾さんや、サザンオールスターズの桑田圭祐さんが食道がんの治療を受けたことはみなさんの記憶に新しいと思いますが、もし早期に食道がんが見つかれば、根治手術が可能かもしれません。
酒飲みで愛煙家の高齢男性には症状がなくても年に1回、病院で上部消化管内視鏡検査を受けてみることをお勧めします(残念ながら早期の食道がんはバリウム造影検査ではまず見つけられません…当院では特殊光内視鏡やルゴール染色を行っておりませんので、早期食道癌が心配な方は最寄りの総合病院での検査がお勧めです)。
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