8月5日(金)
朝から猛暑となっております。みなさま、引き続き熱中症対策をおとり下さい。
新聞やテレビでは現役プロサッカー選手が、練習中に急性心筋梗塞で亡くなったと報道されていました(注: 小児期の川崎病の既往や、喫煙・肥満などの危険因子がない心筋梗塞の発症は極めてまれとのことです)。
ご冥福をお祈りいたします。
本日は狭心症と心筋梗塞を取り上げます。
狭心症は、運動時や明け方安静時に、胸の中央部が重苦しく締め付けられるようになったり、左の顎や肩に痛みが放散したりすることが、典型的症状です。
心臓に分布する血管が狭くなり、心臓の筋肉が酸欠になることで症状が発症します。
心筋梗塞は、心臓の血管が完全詰まってしまい、酸欠で心臓の筋肉が死んでしまう状態で、発症時に2人に1人が亡くなってしまいます。
命にかかわるため、医師として見逃せない病気の一つです。でも、まれに狭心症や心筋梗塞の胸痛がほとんどない患者さんがいます。
上図は2点とも以下から引用させていただきましたhttp://kanja.ds-pharma.jp/health/ketsuatsu/complete/complications/co15.html
小生には心筋梗塞で冷や汗ものの経験があります。
市中病院で研修医と当直しているときに、高血圧、糖尿病、高脂血症でかかりつけの患者さんが
「どこがというわけではないが、身体の具合が悪く、風邪を引いたようだ」
といって受診されました。
血圧はやや低め、診察しても痰が引っかかるような音も聴診で聞こえず。血糖はまあまあのコントロールで、胸の写真をとっても肺炎の影もなし。肝機能もほぼ正常、炎症はわずかで、やっぱり風邪かな?と思いましたが、帰宅する前に念のため、CPKという筋肉が壊れるときに血液中に増える酵素と、心電図をとるよう研修医に指示しました。
結果は心筋梗塞の所見。
心電図波形に明らかな変化があり、心筋細胞が壊れてCPKが上昇しており、救急車で高次病院に搬送と相成りました。
糖尿病による末梢神経障害のため、痛覚が鈍くなっていたため、漠然とした症状を訴えていたのです。研修医と2人、胸をなでおろしました。
以来、糖尿病の方の訴えには特に注意するようになりました。虚心坦懐、念のためにが大切ですね。
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