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2014年8月13日水曜日

症例18 食欲低下と高度の便秘、しかし大腸内視鏡異常なし? 最後にエコーでわかった卵巣がん    2013年8月30日 記事

8月30日(木) 曇り

 台風15号が北上中とのことで、日本列島はまたもや大雨・洪水災害の危険にさらされています。

 温暖化を止めるには、みんなで少しずつ我慢しないといけないということなのでしょうが、エアコンを止めて熱中症になるのも困ります。バランスをとるのが難しいところです。

 今日は、症例の更新です。
 これまで便秘を訴える患者には、腹部エコーは行っていませんでしたが、今回の症例に遭遇し、これからは積極的にプローブを当ててみようと思いました。

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 症例18  食欲低下と高度の便秘、しかし大腸内視鏡異常なし? 最後にエコーでわかった卵巣がん

 やせた小柄な高齢女性。 半年前から食欲低下と高度の便秘を自覚するようになり、かかりつけ医で胃カメラを受けたものの異常なし。胃薬と便秘薬を処方されたものの症状の改善がみられず、大腸ファイバーを希望し当院を受診しました。

 診察時腹部を触れたものの、便塊や癌を疑わせるような硬い腫瘤はふれず。

 全大腸ファイバーを行ったところ、挿入時やや苦痛を訴えたものの、無事一番奥(回腸末端)まで観察し、大腸癌による便の通過障害が無いことを確認し、改めて当科から緩下剤を処方しました。
 しかし、かろうじて排便はあるものの、患者さん曰く

 「お腹がキラキラする」

という腹部不定愁訴が続き、大腸検査翌日 当科を再診されました。

 高齢女性の腹部不定愁訴は比較的よく遭遇する病態ですので、安定剤を追加しで様子を見ようとも考えましたが、ふと念のため腹部エコーを当てておこうという気が起きました。

 そもそも腹部エコーは上腹部の内臓(肝臓、胆嚢、腎臓、脾臓、膵臓)を手軽にスクリーニングするのには有用ですが、腹部~骨盤腔に対しては、腸管内ガスや皮下・内臓脂肪が邪魔をしてほとんど所見が取れないのが一般的です。ましてや便秘の人は腸管ガスが多く、腹部エコーを行うことはいたずらに医療費を増やすことになりかねないと考えていました。
(もっとも最近は消化管に対しても体外超音波を使って積極的にスクリーニングする医師もいらっしゃいますが、一夕一朝では真似できないノウハウがあり、小生にとっては現時点では難しい技です)。

 ただ、対象者によって膀胱のほか、子宮、卵巣などが見えることがあり、その結果として、これまでに膀胱がんや卵巣嚢腫の茎捻転、子宮外妊娠・正常妊娠などを偶然見つけた経験が小生にはありました。その時も空振りでいいから一通り検査しておこうと思ったのだろうと思います。打席に立ってもバットを振らなきゃヒットがでませんからネ。

130828_ranso さて、エコーを上腹部に当てて、型通り異常がないことを確認し、次いで下腹部を走査した途端、見たこともない所見が眼前に広がりました。以下がその画像です。

 小児頭大のプリンスメロン (昭和の頃よく食べられていたメロンの一種。知らない世代もいらっしゃるかも知れません(^_^;)) くらいの嚢胞の壁から、サンゴのような腫瘍がいくつも生えている!

 その日のうちに総合病院に紹介し、後日卵巣がんにて手術予定との返事が届きました。

 卵巣がんについては東京逓信病院産婦人科の以下のサイトに詳しくまとめてありますのでご参考にして下さい。http://www.hospital.japanpost.jp/tokyo/gan/gan_fujin/gan_fujin02.html

 便秘だからといって避けていましたが、結果的には最初から腹部エコーをやっておけば、初診時に診断できたのに…。また小生の経験値が上がりました。不惑を過ぎても毎日が勉強です…

2014年8月4日月曜日

続・若い女性の腹痛~忘れちゃいけない ”卵巣出血” 意外と多いかも…   2012年9月22日 記事


120922inu9月22日(土) 秋分の日
 
 今日は日中はかなり熱いと感じましたが、気温は30度以下でした。

 朝夕めっきり涼しくなり、2ヶ月ぶりにエアコンをつけなくても夜寝られるようになりました。

 愛犬ココアも散歩の後も、ぐったりすることなく元気に過ごしています。

 店頭には、すでに秋の味覚がおいしそうに並んでいます。

 幸水などの赤梨人気の昨今ですが、押され気味で品薄の青梨 ”二十世紀” が昔から小生の好物です。甘すぎず、酸味もあってウマイと思うのですが…そんなことをいうのは春の味覚 ”八朔” 好き同様に世間から見れば少数派です…
120922nashi_4  
さて、今回は ”若い女性の腹痛シリーズ” 続編です。

 20歳代後半の女性。以前腹部手術を受けたことがある。

 3日前から続く下腹部の鈍痛で当科を受診。生理も順調で妊娠の可能性無し。食事とは関係なく、吐気や下痢は伴わず、やや便秘気味、発熱無し。

 最終月経期間を本人に確認して妊娠は否定的でしたので、腹部単純写真を撮ったところ、大腸内にガスと便塊が目立ちました。

 腹部エコーでは腹水や卵巣腫瘍は確認できず。
 院内採血にて炎症反応もなし。

 術後の腸閉塞や子宮外妊娠、卵巣嚢腫もなく、じゃあ便秘かな?という事で、緩下剤を処方して数日様子を見てもらうことにしました。

 初診から3日目の夕方、腹痛がひどくなったといい、彼女は再来しました。

 やはり他には症状はなく、七転八倒するような激しい腹痛ではないものの、鈍い痛みが1日中続くと言います。彼女の視線には

「言われたとおりに薬を飲んだのに良くならない、なんとかしてよこのヤブ医者先生ッ! 」

というサインが見てとれます (^_^;) 。

 うーむ、これはヤバいかも…。

 でも当院で検査を続けても原因が明らかになるとは思えない…ということで、最寄りの総合病院に紹介しました。夕方遅くでしたが、担当医が快く引き受けて下さり、ホッとしました。
 数日経った朝、担当医から連絡がありました。

 彼女は
腹部CTで所見があったため、 ”急性腹症” で入院した と。
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 その時点で病名は判明しませんでしたが、さらに数日後、入院主治医から御返事があり、 ”卵巣出血” 
で、1泊入院の後、無事退院したとのことでした。

 そういえば、若い女性の下腹部不定愁訴の原因の1つとして、以前も 
”卵巣出血” に当たったことが
ありました。

 ネットで 卵巣出血 について調べてみると、結構臨床的には重要な病態(疾患とはいえない?)のようです。

 卵巣表面に出来た卵胞という ”はれもの” が破れて、なかの卵子が ”排卵” されるのですが、その卵巣表面に出来た ”傷(生理的なもので病的ではない)” から出血が続き、出血量は最大1Lにも達することがあるとか。ただ、ほとんどの場合は微量の出血で終わり、特に治療は必要ないとのこと。
120922ranpou

 なるほど、今回もひょっとしたら再来の時にエコーを当てていたら、腹水が見えたのかも?とちょっと悔しくもありましたが、迅速に対応できたことは良しとしようと前向きに考えました。

 なお、専門医によると、卵巣出血には 

「90%ルール」 

という以下の3つの法則があるそうです(スポーツルールみたいですが…)。

① 90%が右側の卵巣出血

② 90%が黄体期(月経周期の
 15~28日目、生理の初日から約
 2週間後、基礎体温が
 高温期になる頃)に発症
③ 90%が発症の前2日以内 
 に性交歴あり

その理由については以下と推察されているそうです。

① 左側はS状結腸が被さって黄体破裂が起こりにくい

② 黄体出血が圧倒的に多いため

③ 性交刺激により黄体破裂が誘発されやすい

病気ではないけれど卵巣出血、やはり若い女性の腹痛は侮れません。 


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2014年8月3日日曜日

症例13,14 最近経験した地雷的症例2例 ツツガムシ病と子宮外妊娠   2012年7月16日 記事

120716sekiyahama 7月16日(月) 海の日 晴れ

 昨日は浜の花火を家族と見てきました。

 花火はきれいで素晴らしかったのですが、海岸道路に違法駐車車両が列をなし、いつものことなのでしょうか興ざめして帰ってきました。

 本日は休日当番です。平常業務の時もそうですが、一見さんのどんな症例が来るか、気が抜けません。

 そういえば、この1か月であわや?!と感じた症例を2例経験しましたのでご報告いたします。

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120716tsutsuga

その1  

 若い男性で、以前から糖尿病を患っていたとのこと。
 
 1週間38度前後の発熱が続くため当院に来院しました。その際、左くるぶしが赤くはれたが痛みはないとおっしゃっていました。

 採血で中等度の炎症がある割に白血球は正常範囲でしたので、急性気管支炎として抗生剤を加えた対症療法を行いました。

 偽痛風という病気もうたがいましたが、その後まったく解熱せずかえって40℃前後と高熱になってしまいました。

 再び採血すると、炎症は不変、白血球をはじめヘモグロビン、血小板といった血液の細胞成分が軒並み減少傾向となっており、黄疸はないものの肝機能障害が見られました。くるぶしの発赤は不変でした。

 腹部超音波では脂肪肝もほとんどない割に、脾臓がやや大きめに見え、ひょっとして血液系の腫瘍とそれによる免疫の低下による敗血症か?と急いでご希望の総合病院に紹介しました。

 数日後届いた診断結果は ツツガムシ病 とのこと。教科書的な赤黒い刺し口は見つけられなかったので、残念です。

 100年前には、ここ阿賀野川流域では年間200人の死者を出していた ツツガムシ病 は、当地では決して忘れてはならない病気だと再認識させられました。

その2

 数日前膀胱炎で診察した女性が、下腹痛を訴えて夕方終診間際に来院。来院してからは痛みがほとんどなくなったが、医院に来る前は痛くて歩けなかったとのこと。

 女を見たら妊娠と思え の金言どおり、膀胱炎の時も 

「妊娠している可能性はありませんか?」 

 と問診しましたが、否ということだったので抗生剤を処方しました。

 再来時、「歩けないくらいの下腹痛があった」と聞いて考え直し、質問の内容を

 「ここ2か月間に性交しませんでしたか?」 

に変えたところ、覚えがあるとのこと。

 即、妊娠反応をチェックし陽性!

 腹部エコーでは腹腔内に液体(腹水?出血?)貯留がみられ、右の卵巣が腫大しているように見えました。以上より小生が下した診断は子宮外妊娠疑いでした。

 自然に痛みの治まった患者さんには 夜間にまた激しい腹痛が来たら、救急病院に行くようにと念を押し、近医産婦人科に紹介状を書いてお渡ししました。
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 数日後の返信で、産婦人科受診時、右卵巣妊娠の診断にて即日手術になったとのこと。

 冷汗三斗…いやはやなんとも。

 女性に 「妊娠の可能性」 を儀礼的に聞いても無駄なのかも…と、なんらかの対策が必要と考えましたが、当科に来院した妊娠可能年齢の患者さん全員に、性生活の頻度まで尋ねるのも、ちょっとなあー。お互い抵抗がありますなー。

 「妊娠の可能性」

と尋ねられて、こちらの糸を理解したうえで、正確に答えてもらえるような、なにか良い知恵はないでしょうか…。

右の 卵管妊娠 の画像は以下から引用させていただきました。
http://www.geocities.jp/gyendoscopy/


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2014年7月30日水曜日

症例8 風邪をひいた後に長引くのどの痛みと発熱~亜急性甲状腺炎という病気  2012年1月31日 記事

1月31日(火) 雪

 寒い日が続いていますが、みなさまの体調はいかがでしょうか。
 週末まで当地は大雪に注意が必要と天気予報で言っていました。今年は寒くて雪が多い年です。
 
 昨日当院でインフルエンザ(B型)の方が見つかりました。休日診療所ではインフルエンザ陰性だったものの、学校でインフルエンザが流行していることから抗インフルエンザ薬を処方されたものの、1日経っても解熱しない、ということで当院に来られた方でした。

 抗インフルエンザ薬による解熱までの時間は、1日前後のA型に比べ、B型は2日くらいかかるので、注意が必要です。

 なお、みなさまには予防のためマスク、手洗い、うがいの励行をお願いいたします。

症例シリーズは、今回は ”亜急性甲状腺炎” を取り上げてみました。

耳慣れない病気かもしれませんが、風邪症状が長引くときには疑ってみるべき疾患です。

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 10年ほど前の勤務医時代。

 中年の女性が前医で治療を受けたものの、2週間も風邪が治らないといい、外来を受診されました。

 風邪薬のほかに抗生剤を処方してもらっても、のどの痛みが続き、あまり体はつらくはないものの動悸を感じ、38度近い熱が続いて夜に寝汗をかく、という症状でした。

 診察したところ、のども赤くなく、扁桃も腫れていませんでしたが、頚部を触ると痛いと訴えました。脈拍は90回/分前後で、白血球は正常範囲で、炎症反応は軽度上昇していましたが、重大な疾患が潜んでいる状態とは思えませんでした。

 眼球突出はもちろん、発汗や手の震え、体重減少などのはっきりしたバセドウ病の症状も無かったのですが、動悸と熱があるので念のためということで甲状腺機能を調べたところ異常が見つかり、すぐ内分泌専門医に紹介となりました。
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 数日後、紹介状の返事に記されていた診断は ”亜急性甲状腺炎” 。

 上気道感染後に、甲状腺組織が破壊されて、貯蔵されていた甲状腺ホルモンが血中に漏れ出てしまい、甲状腺機能亢進症状を呈する病気です。

 40歳~50歳の女性に好発し(男性患者はほとんどみられないとのこと)、一度かかると免疫が出来るため二度はかからないと言われています。

 甲状腺が壊されるための頚部痛があり、甲状腺ホルモン過剰により体温が高くなる他、動悸、発汗、手指振戦を呈し、それが1ヶ月あまり続いてから、一時的に甲状腺機能低下状態となって半年ほどで回復するのが病気の自然経過です。

 約5%の症例ではそのまま甲状腺機能低下状態に陥るため、甲状腺ホルモン補充などの治療が必要となります。

 その後、なかなか ”風邪が治らない” というアラフォー女性は、甲状腺機能のチェックをすべし、を やぶ医者の心得 に加えました。

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 昨年の秋に当院に来院された、風邪を引いてから二週間、37℃台の発熱、のどの痛み、動悸が続くという中年女性に、もしやと思い甲状腺ホルモンを調べたところ、やはり甲状腺の異常が見つかり、専門医に紹介しました。

柳の下には時々ドジョウがいて、それもかなり大物のことがあるので要注意と感じています。

かといって高齢女性の腹痛も油断が出来ない: 閉鎖孔ヘルニアという病気  2011年10月9日 記事


111010coco111010neko_2 10月9日(日)

 今朝は冷え込み、10度以下になります。
 不惑を超えると代謝が落ちて、寒がりになりました。長袖シャツを着て毛布2枚を追加して寝ています。

 朝は小春日和で、猫君は日向ぼっこ、うちのココアもお日様が大好きなのでうれしそうでした。



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 さて、先日は若い女性の急性の腹痛は一筋縄ではいかないという記事を載せました。



 では高齢女性の急性腹症は簡単かというと、やはり診断に苦慮することがあります。

 うちのおばあちゃんが、”はっきりした腹痛も無く、どこがどうというわけではないが、嘔吐して元気がなく、ぐったりしている…”

 そのような症状の際、高齢者の場合はまず癌を疑い精査を行いますが、一見消化器系や婦人科系に異常がないこともあります。

111010heisakoそんなときに知っていなければならない(医者の立場として)病気があります。
 耳慣れない病気かもしれませんが、「閉鎖孔ヘルニア」 という病気をご存知でしょうか。

 おなかの内臓を入れる役割の骨盤の底の筋肉の隙間から腸がはみ出てしまう病気ですが、血行障害がおきて腸が腐ってしまうこともあります。

 高齢の女性に多く、診断の要は、まずこの病気を疑うこと、次いで腹部~骨盤腔CTを撮ってみることに尽きます。

 小生の経験では、郡部の、平均年齢の高い地区で遭遇することが多く、以前病院勤務の際、一日に2人の患者さんが閉鎖孔ヘルニアで消化器内科を受診し、即日外科で立て続けに手術を受けるという事態に遭遇したことがありました。

 なんだか原因がはっきりしないけれど、もやもやした腹痛・嘔吐をきたして具合が悪そうな高齢女性をみたら、骨盤腔までのCTを撮って 「閉鎖孔ヘルニア」 を調べなければなりません。

 また、CT設備をもつ医療機関の Dr諸氏、「閉鎖孔ヘルニア」 をお忘れなく。よろしくお願いいたします。

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若い女性の腹痛はやっぱり難しい: 卵巣の嚢胞性疾患(卵巣嚢腫茎捻転、チョコレート嚢胞破裂) 2011年10月5日 記事

10月5日(水)
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 朝は曇っていましたが、昼から雨になってしまいました。
 
 気温は20℃以下で、1か月前まで30℃以上あったことが信じられません。風邪ひきで来院される方もこれまでになく、多くなっています。体調を崩さないようご留意ください。

 小生も9月末の風邪がようやく治りつつあります。そろそろインフルエンザの予防接種を受けないといけない季節ですし…少々焦りました。

本日は、若い女性の腹痛について、また書いてみました。

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 この夏(2011年)に 

ガングロコギャルのクラミジア性腹膜炎(フィッツ=ヒュー=カーティス症候群)と、

女を見たら妊娠と思え!

というブログ記事をアップしました。

 不惑を過ぎ、内科のキャリア20年となった今でも、いまだに日々の診療で驚くこともあります。

 先日も常習性の便秘で 1週間排便がなくても平気という二十歳の女性患者さんに驚いたり、腹痛で七転八倒している便秘がちの女子中学生を診察、採血、採尿、腹部エコーで異常なく、腹部写真で腸管ガスが多かったので、浣腸をかけ排便を促したら、けろりと軽快し独歩で帰宅したり…人体、特に女性は神秘、かもしれません。

 若い女性の腹痛には、そのほかに忘れてはいけない病気がありました。

 つい先日も当科で診断し、総合病院に救急搬送となり、即日開腹手術に至った症例がありましたので、関連記事として取り上げました。

 20代の女性が数日前から続く左下腹部痛を訴えて当院を来院しました。前日他院にかかったところ、便秘気味だったことから下剤と痛み止めを処方されたものの、効果がないため当科にかかったとおっしゃっていました。

 ベッドに横になっていた患者さんは、痛みのため顔面は蒼白で無欲状、受け答えしている最中も、痛みのため言葉が途切れがちでしたが、2か月以内の性交歴がなく、妊娠している可能性はないこと、3日間便秘していて、痛みはだんだんひどくなり、吐き気を伴うこと、腹部手術歴がないことを確認しました。

 腹部写真では腸閉塞は否定的で、採血では軽度の炎症反応をみとめるものの、貧血はありませんでした。
 腹部エコーでは腹部臓器に異常なし、腹水なし。
 骨盤腔内を見てみると、子宮と膀胱の間、左側に8㎝くらいの嚢胞状エコーが疑われました(腸管ガスも多かったため、再現性にやや難がありましたが…)。

 強い痛みどめを注射したものの、痛みは完全には取れず、顔色が不良、軽度の炎症を伴って、骨盤腔内に嚢胞を認めることから、卵巣嚢腫による婦人科の救急と考え、時間外でしたが総合病院に紹介しました。

 3日後に紹介先からの返事で、

”卵巣嚢腫の茎捻転”

の診断で即日開腹手術を行ったと知りました。

111005keinenten 「後から見るほど名医」 とはいえ、小生はほっと胸をなでおろしました。

 学生時代、産婦人科の救急として、子宮外妊娠と卵巣嚢腫の茎捻転は、専門を問わず知っておけと講義でくどくど言われていましたが、今回はその教官の先生に感謝しました。(右の図は以下から抜粋させていただきました)
http://www.jomo-news.co.jp/kenko-tsushin/kenko00111.html

 卵巣は男性の金的に当たる臓器ですので、そこがねじれてしまったら、想像を絶する苦痛を招くと思われます。

 茎捻転のほか、チョコレート嚢胞の切迫破裂という症例にも遭ったことがあります。

 やはり妊娠は否定的な20代の健康女性が、以前から時々便秘と腹痛を自覚していたそうでしたが、ある日突然耐えられない下腹部痛をきたして小生を受診、その際やはり腹部エコーで小児頭大の嚢胞を認め、産婦人科に相談したところ、

”子宮内膜症に伴うチョコレート嚢胞の切迫破裂”

と診断されました(右図は下記から抜粋させていただきました)。
111005choco http://allabout.co.jp/gm/gc/299886/2/

 子宮内膜症は不妊の原因になることもあるそうで、重症例は産婦人科での手術治療が必要とのことです。

 なんにせよ、「おなかのお医者」は老若男女を問わず対応せざるを得ないので、日々気が抜けません。

でも、時々、専門外の病気をみつけて、どや顔になり、ひととき自己満足に浸るのが、唯一の慰めです…。 




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2014年7月29日火曜日

いわゆる ”貧血” にもさまざまなものがあります  2011年8月20日 記事

8月20日(土)

ここのところ曇~雨で日射しが遮られ、涼しく過ごしやすい日が続いています。

ですが、気温の変化に伴い風邪をひくなど、体調を崩した方が昨日多数来院され、ブログをアップする時間がありませんでした m(__)m 。

涼しいときは一枚羽織るなど衣服で体温調節をするようにお願いします。

今日は医学的にみた、いわゆる 「貧血」 の話です。

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 俗に 「貧血」 というと、立ちくらみやめまいを伴い、顔色が蒼くなった状態を指すようで、「脳貧血」 とも言い表されます。

 この症状は、起立性調節障害といい、立ち上がった際に、本来自律神経が下半身の血管を収縮させ、脳への血流を増やす反応が鈍った状態の時に起きます。つまり自律神経がうまく働かないための症状です。
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 一方、医学的的に 「貧血」 とは、血液が薄くなったり、血液中のヘモグロビンという物質(酸素を体中に運搬し二酸化炭素を回収する働きを持つ)が少なくなって、体内が酸欠状態になるため、動悸、息切れ、頭痛、易疲労感など、様々な症状が出る状態のことを指します。

 日常診療では 「鉄欠乏性貧血」 が一番多く見受けられます。

 これはヘモグロビンの原料である体内の鉄分が減少したため、ヘモグロビンが少なくなり、赤血球も小さくなる状態です。

 若い女性では偏食や過多月経などが原因のことがありますが、中年期からは痔、子宮筋腫、胃十二指腸潰瘍などのほか、胃癌・大腸癌などの消化器癌など重大な病気が隠れていることがあり、胃カメラ、大腸ファイバー、CTなどで精密検査が必要です。

 腎臓の機能が低下すると始まる 「腎性貧血」 もよく遭遇します。腎臓からはエリスロポイエチン(EPO)という造血ホルモンが分泌されていますが、腎不全になるとEPOが出なくなるため、貧血になります。

 まれに 「悪性貧血」(名前に驚くかもしれませんが、この貧血の欠乏因子 ビタミンB12 が発見されるまで、患者の多くが死んでいたための名称で、現在はビタミンの定期的注射で治る貧血です)も見られます。

 胃の手術を受けたりして、食品からのビタミンB12の吸収が障害され、赤血球の元になる赤芽球のDNA合成がうまくいかなくなって、赤血球が巨大化し壊されてしまう(無効造血)のがそのメカニズムです。

 そしてごくまれに、白血病や再生不良性貧血など、血液を造る骨髄の異常から発症する貧血もあります。 

 検診で貧血を指摘されたら、まず最寄りの内科にご相談していただきたいと思います。

”女をみたら妊娠と思え” 救急現場での金言  2011年8月12日 記事

 8月12日(金)

 当地阿賀野市では朝から曇りのお天気で、猛暑も一休みか?と期待してしまいます。
 明日からお盆、帰省した親族の方々と楽しくお過ごしください。

 今回は女性の急病と妊娠についてのお話です。

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 栄養状況や、女性の初潮の年齢は小学高学年のことも多いようです。未成年でも女性の腹痛は、妊娠の可能性を疑うべき、と研修医時代には叩き込まれました。

ケース 1

 ある夏の休日の夜、病院の救急室に中学2年生の女の子が食思不振、吐き気で母親に連れてこられました。

 見たところ健康で、特に異常なし。念のための採血も貧血、炎症なし。何気なしに、母親が席を外した時に、妊娠の可能性について尋ねたところ、どうも返答がはっきりしない。

 尿を取って妊娠反応を見てみたら陽性でした。

 母親同席でその結果をお話ししましたが、何とも気まずい雰囲気でした。その後のことは不詳です。

 ケース 2

 めまいと吐き気がここ1か月続くということで消化器内科を受診したアラサーの女性。

 血液検査で貧血もなく、めまいと吐き気の薬を出して様子を見ようかなと思いましたが、最後に念のため妊娠について問診しました。

 本人は妊娠しているはずがない、と否定的でしたが、検査に同意いただき尿を調べたところ、妊娠反応陽性…直後に紹介した産婦人科での超音波検査では妊娠6週だったそうです。

 妊娠しているかどうかは、本人でもわからないことがあるのですね。

 「女を見たら妊娠と思え」、日常診療においても大切な金言です。

 小生、開業してからは、「妊娠の可能性] とマイルドに問診するのではなく、「過去2か月以内の性交の有無」についてズバリ質問するようになりました。

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2011年8月 ガングロコギャルに多かった右上腹部痛 Fitz-Hugh-Curtis症候群
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2011年10月 若い女性の腹痛はやっぱり難しい: 卵巣の嚢胞性疾患(卵巣嚢腫茎捻転、チョコレート嚢胞破裂)http://utida-naika.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/10/post_4927.html
2011年10月 かといって高齢女性の腹痛も油断が出来ない: 閉鎖孔ヘルニアという病気http://utida-naika.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/10/post_3cf0.html
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2012年9月 続・若い女性の腹痛~忘れちゃいけない ”卵巣出血” 意外と多いかも…
http://utida-naika.blog.ocn.ne.jp/blog/2012/09/post_e88c.html

2014年7月28日月曜日

ガングロコギャルに多かった右上腹部痛 Fitz-Hugh-Curtis症候群 2011年8月8日 記事

 8月8日(月)

 新潟祭りも終わり、日中の日差しは厳しいものの、朝夕は涼しさが感じられます。虫の音からも秋の訪れがそう遠くないように思います。

今回は性病の一種 Fitz-Hugh-Curtis症候群(フィッツ ヒュー カーティス しょうこうぐん)についてのお話です。

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 世の中の動きに疎いため、ルーズソックスをはいた金髪ガングロコギャルがいまだに棲息しているかどうか定かでありませんが、10年ほど前県内の郡部にはまだ多かったように記憶しています。

 病院で勤務医をしていたころ、救急外来に夜中、腹痛で、ガングロ高校生が運ばれてきました。急に右上腹部痛を訴えて七転八倒し始めたと連れてきた家族が教えてくれました。

 腹部のレントゲン写真や腹部エコーでは腸閉塞や胃腸に穴が開いたり、胆石や腹水の所見はなし。採血で軽度の炎症を認めるのみでした。念のため調べた妊娠反応も陰性でした(中学生でも ”女を見たら妊娠と思え” というのは救急医療の常識です)。

 本来なら首をかしげて 「原因不明です」 と説明するところですが、その病院に勤めていた先輩医師から 「ここら辺の若い娘に多い腹痛」 の話を聞いていたので、念のためにその病気に対して抗生物質を出したところ、けろりと症状がなくなったという経験をしました。

 横文字でFitz-Hugh-Curtis症候群(フィッツ=フュー=カーティスしょうこうぐん)、性行為でクラミジアが子宮~卵管を経ておなかの中に感染し、腹膜炎を起こした状態です(虫垂炎が穿孔した場合=破れ盲腸などともいいますが、医学的には穿孔性腹膜炎や汎発性腹膜炎といい、腹膜炎はとにかく重症であることを意味します)。

 婦人科ではお馴染みの病気だそうで、おなかの中でビニールひものような癒着が肝臓表面に多発し、チョンと右あばらをつつくだけで痛くて飛び上がることもあるそうです。ご興味のある方はこのブログをご覧ください。http://blogs.yahoo.co.jp/crazy_tombo/42453056.html

 女性のガードが甘くなる夏から秋に多いといわれていますので、アバンチュールもほどほどに…


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2011年8月 ”女をみたら妊娠と思え” 救急現場での金言
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2014年7月27日日曜日

女性に多い甲状腺の病気 2011年7月25日 記事

 変わらず日中の日差しは厳しいものの、今朝のように朝晩は涼しい日もあります。

 未明には地震もあり、寝不足の方もいらっしゃるかと思います。阿賀野市のみなさま、ご機嫌はいかがでしょうか。

 今回は甲状腺の病気についてお話します。

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  一般にあまり知られていない甲状腺疾患は女性に多いのが特徴です。病気の多くは良性ですがあることが、まれに甲状腺がんがみつかります。 
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 甲状腺は、のど仏の下にあり、気管を囲むように張り付いている蝶のような形の小さな臓器です。

 そこで作られる甲状腺ホルモンの機能は、”全身の代謝の調節” です。

 ホルモンの分泌が過剰になれば、エネルギーを多く消費するため暑がったり、食べてもやせてしまったりします。

 逆に甲状腺ホルモンが減ると不活発になり、倦怠感、集中力の低下、寒がるなどの症状が出ます。画像は以下から引用させていただきました。http://www.medical-tribune.co.jp/kenkou/200209271.html

 甲状腺の機能が高まる 「バセドー病」 は20-40代の女性に好発します。

 体重減少や動悸(どうき)、息切れ、いらいら、汗をかきやすいなどが主な症状で、眼球が飛び出る症状が象徴的です。薬剤で甲状腺の機能を抑え、症状に応じて、手術や放射線治療を検討します。

 甲状腺の機能が低下する病気では 「慢性甲状腺炎(日本人研究者の名前を取って 橋本病)」 とも」 があります。

 成人女性の20-30人に1人程度発症し、症状は、寒がりになる、何となくだるい、皮膚が乾燥するなどで進行すると認知症と間違われることもあります。治療は内服による甲状腺ホルモンの補充です。

 甲状腺腫瘍にも良性と悪性があり、細胞の形状や特性によって

(1)乳頭(にゅうとう)がん
(2)濾胞(ろほう)がん
(3)未分化がん
(4)髄様(ずいよう)がんに分類されますが、専門的なのでこれ以上細かいことは割愛します。

 最近は超音波検査の普及などで、1cm以下の小さな甲状腺腫瘍が見つかるようになってきています。
 甲状腺のがんの大半はゆっくり進行し予後もおおむね良いものの、半年か年一度は、大きさの測定や穿刺(せんし)吸引細胞診という精密検査を受けて経過を見守ることが必要です。

 当院でも先日、甲状腺のエコーをご希望の、全く無症状の女性が受診し、何の気なしに調べたところ、3cmの腫瘍が見つかり、即専門医に紹介しました。甲状腺の触診で異常はなく、超音波で調べてみないとわかりませんでした。

 甲状腺のスクリーニングエコーは5分程度で出来ますので、甲状腺が気になる方は受診時にお申し出ください。

2014年7月21日月曜日

アラフォー女性の のどの違和感 → ”ヒステリー球について”  2011年6月15日記事

 今朝はほぼ快晴でさわやかな空気を吸いながら犬と散歩しました。慈雨をもたらす雨の日も大切ですが、やはり晴れの日は気分がいいですね。

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 今日は耳慣れないかもしれませんが、”ヒステリー球” という症状についてお話しします。

 小生のように消化器内科、つまり食べ物の通り道の病気を専門にしていると、30歳~60歳の女性が ”喉がつまる” 感じを訴えて来院することが、かなり多くあります

 。症状に個人差はあるものの、以下のように表現される自覚症状が気になるというのです。
いわく、のどの圧迫感・異物感、のどに玉がひっかかっているようだ、飲み込みたいけど飲み込めず、出したくても出せない、首を絞められているようだ

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このブログをお読みの方にも、このような症状をお持ちの方はいらっしゃるのではないでしょうか?

 この症状には、西洋医学では ”ヒステリー球” という病名がついています。

 内視鏡やCTで検査しても異常はまず見つかりません。ストレスやノイローゼですよ、ということになることがほとんどですが、まれに狭心症の放散痛や、食道がんなどによる食道狭窄症、バセドウ氏病や橋本病などの甲状腺の病気が隠れていることがあり、やはり精密検査は必要です。

 ただ、上記のような重大な病気が隠れている場合には、半年で体重が5kg減ったとか、食欲がないなどの症状がほぼ必発です。


 間食は止められず、ダイエットも挫折した、というような方がのどの違和感を訴える場合には、まず ”ヒステリー球” と考えてよさそうですが…

 ヒステリー球疑いの患者さんに対しての小生の対応は以下の通りです。

 まず目に見える病気がないか、上部消化管内視鏡を行い、異常がなければ患者さんの希望により、病院に紹介して頸部~胸部の造影CTを撮ってもらいます。

 その結果、目に見える異常がなければ、やはり患者さんの希望により、ヒステリー球に効果のありそうな漢方薬をしばらく処方してみます。そして来院間隔が広がって、いつの間にか来院しなくなるようなら一件落着と考えます。

 ”ヒステリー球”にお悩みの方は、まずは医療機関で、胃カメラやCTで調べてもらうことをお勧めします。