今日は日中はかなり熱いと感じましたが、気温は30度以下でした。
朝夕めっきり涼しくなり、2ヶ月ぶりにエアコンをつけなくても夜寝られるようになりました。
愛犬ココアも散歩の後も、ぐったりすることなく元気に過ごしています。
店頭には、すでに秋の味覚がおいしそうに並んでいます。
幸水などの赤梨人気の昨今ですが、押され気味で品薄の青梨 ”二十世紀” が昔から小生の好物です。甘すぎず、酸味もあってウマイと思うのですが…そんなことをいうのは春の味覚 ”八朔” 好き同様に世間から見れば少数派です…
さて、今回は ”若い女性の腹痛シリーズ” 続編です。
20歳代後半の女性。以前腹部手術を受けたことがある。
3日前から続く下腹部の鈍痛で当科を受診。生理も順調で妊娠の可能性無し。食事とは関係なく、吐気や下痢は伴わず、やや便秘気味、発熱無し。
最終月経期間を本人に確認して妊娠は否定的でしたので、腹部単純写真を撮ったところ、大腸内にガスと便塊が目立ちました。
腹部エコーでは腹水や卵巣腫瘍は確認できず。
院内採血にて炎症反応もなし。
術後の腸閉塞や子宮外妊娠、卵巣嚢腫もなく、じゃあ便秘かな?という事で、緩下剤を処方して数日様子を見てもらうことにしました。
初診から3日目の夕方、腹痛がひどくなったといい、彼女は再来しました。
やはり他には症状はなく、七転八倒するような激しい腹痛ではないものの、鈍い痛みが1日中続くと言います。彼女の視線には
「言われたとおりに薬を飲んだのに良くならない、なんとかしてよこのヤブ医者先生ッ! 」
というサインが見てとれます (^_^;) 。
うーむ、これはヤバいかも…。
でも当院で検査を続けても原因が明らかになるとは思えない…ということで、最寄りの総合病院に紹介しました。夕方遅くでしたが、担当医が快く引き受けて下さり、ホッとしました。
数日経った朝、担当医から連絡がありました。
彼女は
腹部CTで所見があったため、 ”急性腹症” で入院した と。
その時点で病名は判明しませんでしたが、さらに数日後、入院主治医から御返事があり、 ”卵巣出血”
で、1泊入院の後、無事退院したとのことでした。
そういえば、若い女性の下腹部不定愁訴の原因の1つとして、以前も
”卵巣出血” に当たったことが
ありました。
ネットで 卵巣出血 について調べてみると、結構臨床的には重要な病態(疾患とはいえない?)のようです。
卵巣表面に出来た卵胞という ”はれもの” が破れて、なかの卵子が ”排卵” されるのですが、その卵巣表面に出来た ”傷(生理的なもので病的ではない)” から出血が続き、出血量は最大1Lにも達することがあるとか。ただ、ほとんどの場合は微量の出血で終わり、特に治療は必要ないとのこと。
なるほど、今回もひょっとしたら再来の時にエコーを当てていたら、腹水が見えたのかも?とちょっと悔しくもありましたが、迅速に対応できたことは良しとしようと前向きに考えました。
なお、専門医によると、卵巣出血には
「90%ルール」
という以下の3つの法則があるそうです(スポーツルールみたいですが…)。
① 90%が右側の卵巣出血
② 90%が黄体期(月経周期の
15~28日目、生理の初日から約
2週間後、基礎体温が
高温期になる頃)に発症
③ 90%が発症の前2日以内
に性交歴あり
その理由については以下と推察されているそうです。
① 左側はS状結腸が被さって黄体破裂が起こりにくい
② 黄体出血が圧倒的に多いため
③ 性交刺激により黄体破裂が誘発されやすい
病気ではないけれど卵巣出血、やはり若い女性の腹痛は侮れません。
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