9月17日(月) 敬老の日 晴れ
お彼岸が近いというのに、日中は相変わらず30度を超える暑さが続きます。
朝夕は涼しくなってきて、ほっとできるようになっただけ盛夏に比べればましと言ったところかと思っていたら、台風に伴うフェーン現象で最高気温が35度以上とは…。地球は人間のせいで病んでいるようです…。
犬とは朝か夜涼しい時に散歩しています。
医院裏の田んぼでは稲刈りが始まりました。炎天下の中ご苦労様です。農作業中の方も、大汗をかいたら、水分に加えてと塩分補給をお忘れなく。
今回は全く想定外の病気が見つかった患者さんのお話です。
**************************
50歳代の女性がスクリーニング胃カメラを希望して来院されました。
住民検診は受けたものの、胃のバリウム検査が苦手で、噂で当院の経鼻内視鏡がラクだと聞いて受診したそうです(ありがとうございます m(_ _)m)。
胃内には毛細血管の拡張病変が多発していましたが、ポリープや癌などは認めませんでした。
「多発血管腫」 から、学生の頃のおぼろげな知識の中から
「オスラー=ウェーバー…なんとか症候群」
というキーワードを思い出し、インターネットで調べてみると、その病気の名称は
「Osler=Weber=Rendu(オスラー=ウェーバー=ランデュ)病」 と判明。
早速、鼻血の有無や皮膚の血管腫、肉親にも皮膚の血管腫がなかったかをうかがってみると、 元々赤ら顔でよく鼻血もでる、父親の身体にも赤い点々があった…といった手がかりが得られました。
もし本当に Osler=Weber=Rendu病 だとすると、患者の半数には、肺・肝臓・脳に血管腫が出来て、そのため呼吸不全や心不全、脳出血などを生じる危険があると教科書には書いてあります。
これは一大事!
まず本当にその 「オスラー…病」 かどうかを診断してもらわなければ! ということで、病院の総合診療科に紹介しました。
「病気の診断は、まずは疑うことから」と、小生は考えていますので 「外れていたらごめんね、でも精密検査は受けきてね」 と送り出しました。
さて、半年ほど経ったある日の夕方、くだんの女性が風邪で来院され、その後のお話を伺ってビックリしました。
紹介先の総合病院で全身を調べてもらったところ、主要臓器に血管腫はなし。
でもCTでたまたま副腎という、腎臓に乗っかっているホルモンを出す内臓に腫瘍が見つかり、精密検査をしたところ、褐色細胞腫という腫瘍で開腹手術を受けたとのことでした。
医療が発達し、開業医でもCTが撮れる昨今、副腎偶発種といって偶然発見される副腎の腫瘍が増えています。
その多くは無機能性腫瘍といって経過観察にとどめて問題ないものですが、時にホルモンを分泌したり、癌化したりする副腎腫瘍があります。
褐色細胞腫はアドレナリン類を分泌する細胞が腫瘍化したもので、高血圧や高血糖、頭痛(代謝亢進や発汗過多を合わせた症状から、5つの症状の英語の頭文字を取って、5H病ともいいます)などを来します。
また医学生は 「10% disease (テンパーセント ディズィーズ)」と記憶しています。
両側の副腎に発生する、悪性化する、といったことが10%の患者に起きるという意味です。
当初疑った病気ではなく、偶然見つかった病気を手術するきっかけをくれたという事で、患者さんは感謝してくれましたが、薮医者のはしくれである小生は心中複雑でした…。
同時に、普段血圧などで通院されている方にも、思いがけない病気がひそかに発生している可能性を考えると、日常診療の中では、空振りでもいいから検査を勧めることや、他院の専門家に紹介する姿勢を益々強化しなくては、と身の引き締まる思いがしました。
なお、右の図は、右副腎に出来た褐色細胞腫のCT画像です、ご参考までに。
お彼岸が近いというのに、日中は相変わらず30度を超える暑さが続きます。
朝夕は涼しくなってきて、ほっとできるようになっただけ盛夏に比べればましと言ったところかと思っていたら、台風に伴うフェーン現象で最高気温が35度以上とは…。地球は人間のせいで病んでいるようです…。
犬とは朝か夜涼しい時に散歩しています。
医院裏の田んぼでは稲刈りが始まりました。炎天下の中ご苦労様です。農作業中の方も、大汗をかいたら、水分に加えてと塩分補給をお忘れなく。
今回は全く想定外の病気が見つかった患者さんのお話です。
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50歳代の女性がスクリーニング胃カメラを希望して来院されました。
住民検診は受けたものの、胃のバリウム検査が苦手で、噂で当院の経鼻内視鏡がラクだと聞いて受診したそうです(ありがとうございます m(_ _)m)。
胃内には毛細血管の拡張病変が多発していましたが、ポリープや癌などは認めませんでした。
「多発血管腫」 から、学生の頃のおぼろげな知識の中から
「オスラー=ウェーバー…なんとか症候群」
というキーワードを思い出し、インターネットで調べてみると、その病気の名称は
「Osler=Weber=Rendu(オスラー=ウェーバー=ランデュ)病」 と判明。
早速、鼻血の有無や皮膚の血管腫、肉親にも皮膚の血管腫がなかったかをうかがってみると、 元々赤ら顔でよく鼻血もでる、父親の身体にも赤い点々があった…といった手がかりが得られました。
もし本当に Osler=Weber=Rendu病 だとすると、患者の半数には、肺・肝臓・脳に血管腫が出来て、そのため呼吸不全や心不全、脳出血などを生じる危険があると教科書には書いてあります。
これは一大事!
まず本当にその 「オスラー…病」 かどうかを診断してもらわなければ! ということで、病院の総合診療科に紹介しました。
「病気の診断は、まずは疑うことから」と、小生は考えていますので 「外れていたらごめんね、でも精密検査は受けきてね」 と送り出しました。
さて、半年ほど経ったある日の夕方、くだんの女性が風邪で来院され、その後のお話を伺ってビックリしました。
紹介先の総合病院で全身を調べてもらったところ、主要臓器に血管腫はなし。
でもCTでたまたま副腎という、腎臓に乗っかっているホルモンを出す内臓に腫瘍が見つかり、精密検査をしたところ、褐色細胞腫という腫瘍で開腹手術を受けたとのことでした。
医療が発達し、開業医でもCTが撮れる昨今、副腎偶発種といって偶然発見される副腎の腫瘍が増えています。
その多くは無機能性腫瘍といって経過観察にとどめて問題ないものですが、時にホルモンを分泌したり、癌化したりする副腎腫瘍があります。
褐色細胞腫はアドレナリン類を分泌する細胞が腫瘍化したもので、高血圧や高血糖、頭痛(代謝亢進や発汗過多を合わせた症状から、5つの症状の英語の頭文字を取って、5H病ともいいます)などを来します。
また医学生は 「10% disease (テンパーセント ディズィーズ)」と記憶しています。
両側の副腎に発生する、悪性化する、といったことが10%の患者に起きるという意味です。
当初疑った病気ではなく、偶然見つかった病気を手術するきっかけをくれたという事で、患者さんは感謝してくれましたが、薮医者のはしくれである小生は心中複雑でした…。
同時に、普段血圧などで通院されている方にも、思いがけない病気がひそかに発生している可能性を考えると、日常診療の中では、空振りでもいいから検査を勧めることや、他院の専門家に紹介する姿勢を益々強化しなくては、と身の引き締まる思いがしました。
なお、右の図は、右副腎に出来た褐色細胞腫のCT画像です、ご参考までに。
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