12月24日(月) 祝日 雪
一転して今朝は寒波で凍えるようなクリスマスイブです。アンデルセン原作のマッチ売りの少女は、きっとこんな天候下のお話だのだろうと思います。
朝、犬と散歩しましたが、強風で路面がウロコ状に氷結し転びそうでした。
今期はノロウイルスの話題がメディアに取り上げられ、変異ウイルスの感染流行や、九州での集団感染死について連日報道されています。
当ブログでも以前取り上げましたが、感染力の強いノロウイルスにはワクチンや特効薬もありません。(2011年12月 ノロウイルス感染症 冬に流行する 吐きくだしの風邪 http://utida-naika.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/12/post_b18b.html)
感染予防を心がけたいところですが、目に見えないウイルスが10個程度感染しただけでも発症するなど、予防も難しいようです。
できる事をしておくという意味で人混みや感染者の付近でのマスク着用、手洗い、うがいを励行して下さい。
さて、本日は便秘についてのお話です。普段は小生も 便秘は体質 ということで片付けてしまっています。ところが先日、看護学校での講義用の文献を探していたところ、便秘が原因で死亡してしまった若い女性の報告が見つかり、便秘といえど常習性で高度のものはやはり医療機関での治療が必要と感じとりあげることにしました。
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二十歳代の中肉中背の女性が自宅で息絶えているところを発見され、事件性の有無を確かめる
ために解剖が行われた。
致命傷となるような外傷はなく、腹部が異常に膨満していた。
小腸から大腸にかけて消化管の拡張をみとめ、最も太いところは周囲30cm以上に膨らんでいた。これは腸管内に貯留したガスによるものとみられた。
大腸には大量の便塊が残っており、重量は6.7kgであった。
直腸には水分を失い、まるでコンクリートのようになった硬便が充満し、到底浣腸や摘便で除去できるような状態ではなかった。
結論として死因は、便秘に伴う腹部膨満によるショック死と推測された。
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当院でも日常診療の中で便秘の治療を行っています。以前便秘で10日に1回の排便でも平気という女性がいて驚いた事があります。
また突然の腹痛で、七転八倒する中学生を腹部エコーやX線写真で調べ、便秘が原因だろう、ということで浣腸を指示し、排便後はすたすた歩いて帰るのを見てやはり驚きました。
便秘の対策としては以下のことが推奨されています。
・ 腸に良いとされるプルーンや ヨーグルトを朝食べる。
・ 朝起きたらまずコップ1杯 の水分補給を行い、1日を通し て水分を十分摂る。
・ 朝食に雑穀米、雑穀パン、シリ アルなど食物繊維の多いも のを食べる。昼食・夕食には 野菜を食べる。おやつにはフル ーツを。
・ 散歩やジョギング、水泳など体全体を動かす運動を行う。
また便秘の治療薬には以下のような種類があります。
・ 機械的下剤 = 便の水分を増加させて排便を容易にさせる下剤
塩類下剤(マグネシウム)、膨張性下剤(バルコーゼ)、浸潤性下剤(バルコゾル)、糖類下
剤(ラクツロース)
・ 刺激性下剤
大腸の粘膜を刺激するアロエ、センナ、大黄などのアントラキノン系誘導体やラキ
ソベロン。新レシカルボンは直腸内で二酸化炭素を発生し、腸運動を亢進させる。コーラッ
クも大腸を刺激する。
ところで最近、20年ぶりの新薬として発売されたアミティーザ®(アボット社)は、機械的下剤に当てはまり、
” 腸管粘膜上のClC-2クロライドイオンチャネルを活性化することで、小腸腸管内腔へのCl-輸送により浸透圧を生じさせ、結果として腸液の分泌を促進し便の水分含有量を増やして柔軟化させ、腸管内輸送をうながして便秘が改善” するのだそうです。
従来の便秘で効果が乏しいという方に使ってみたいと思います。
なお画像は以下から引用させていただきました。
http://www.taisho.co.jp/colac/sub07_a.html
http://www.selfdoctor.net/q_and_a/2001_02/benpi/04.html
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