2014年7月28日月曜日

ガングロコギャルに多かった右上腹部痛 Fitz-Hugh-Curtis症候群 2011年8月8日 記事

 8月8日(月)

 新潟祭りも終わり、日中の日差しは厳しいものの、朝夕は涼しさが感じられます。虫の音からも秋の訪れがそう遠くないように思います。

今回は性病の一種 Fitz-Hugh-Curtis症候群フィッツ ヒュー カーティス しょうこうぐん)についてのお話です。

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 世の中の動きに疎いため、ルーズソックスをはいた金髪ガングロコギャルがいまだに棲息しているかどうか定かでありませんが、10年ほど前県内の郡部にはまだ多かったように記憶しています。

 病院で勤務医をしていたころ、救急外来に夜中、腹痛で、ガングロ高校生が運ばれてきました。急に右上腹部痛を訴えて七転八倒し始めたと連れてきた家族が教えてくれました。

 腹部のレントゲン写真や腹部エコーでは腸閉塞や胃腸に穴が開いたり、胆石や腹水の所見はなし。採血で軽度の炎症を認めるのみでした。念のため調べた妊娠反応も陰性でした(中学生でも ”女を見たら妊娠と思え” というのは救急医療の常識です)。

 本来なら首をかしげて 「原因不明です」 と説明するところですが、その病院に勤めていた先輩医師から 「ここら辺の若い娘に多い腹痛」 の話を聞いていたので、念のためにその病気に対して抗生物質を出したところ、けろりと症状がなくなったという経験をしました。

 横文字でFitz-Hugh-Curtis症候群(フィッツ=フュー=カーティスしょうこうぐん)性行為でクラミジアが子宮~卵管を経ておなかの中に感染し、腹膜炎を起こした状態です(虫垂炎が穿孔した場合=破れ盲腸などともいいますが、医学的には穿孔性腹膜炎や汎発性腹膜炎といい、腹膜炎はとにかく重症であることを意味します)。

 婦人科ではお馴染みの病気だそうで、おなかの中でビニールひものような癒着が肝臓表面に多発し、チョンと右あばらをつつくだけで痛くて飛び上がることもあるそうです。ご興味のある方はこのブログをご覧ください。http://blogs.yahoo.co.jp/crazy_tombo/42453056.html

 女性のガードが甘くなる夏から秋に多いといわれていますので、アバンチュールもほどほどに…


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