2014年7月28日月曜日

症例 1 20代 女性 胃癌、癌性腹膜炎  2011年8月10日 記事

 8月10日(水)

 朝から猛暑です。
 昨夜はエアコンの効いた部屋で犬と寝ました。それでも夏バテしそうです。

 本日は朝から日本文理が優勝候補の日大三高と対戦しています。頑張ってほしいです。
今回は 忘れられない症例 1 についてです。小生は若い女性にも、胃腸症状があれば胃カメラを受けるようにお勧めするようにしていますが、その契機になった症例です。

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20代女性 

 出産後も 1年近く貧血、食思不振、嘔気、全身倦怠感、体重減少が続き、本人は長引く つわり だと考えていたとのこと。
 かかりつけの婦人科で腹水を指摘され、内科での精査を進められて病院に紹介受診。

 早速、腹部エコー、腹部~骨盤腔造影CTを行い、大量腹水の貯留を確認。

 胃壁の肥厚(壁が厚くなること)もあり、胃カメラを行ったところ スキルス胃癌”(胃癌細胞がかたまりを形成せず、胃の壁に浸み込むように広がるため、発見されにくい)が見つかり、胃癌の腹膜播種(癌細胞が)による癌性腹膜炎と診断されました。
 
 癌性腹膜炎とは、癌の病巣から癌細胞が胃腸の外にこぼれ落ちて、胃腸を裏打ちしている腹膜に転移、炎症をおこして腹水がたまる状態で、この時点で病巣は広がってしまっており、手術は行っても意義が少ないため、抗がん剤治療を行います。

 小生も、病理診断が出る前に、抗がん剤治療の専門医のいる病院に即紹介しました。
 そこで1年ほど治療を受けてその間に海外旅行にも行くことができたというお話でしたが、その後抗がん剤が効かなくなり亡くなったと連絡が来ました。

 妊娠を経験された女性はご存じのとおり、つわりが出産後も続くことはありません

 胃がんは妊娠の前後から存在していたと推測されました。母親が乳飲み子を残して亡くなる無念さは如何ばかりであったか、父親である小生には想像が及びません。ただ、1歳になったお子さんの話を嬉しそうにしてくれた彼女の笑顔が記憶に残っています。

 この症例を経験して以後、二十歳前後の女性や、妊娠中・出産後のお母さんであっても、小生はこの症例のお話をして、精査を希望されたら迷わず胃カメラを行うようになりました。

 その結果のほとんどは異常のないことを確認するだけですが、検査しなければ無症状の早期胃がんを見つけることはできませんから。

 子育て世代のお母さんには(お父さんもですけれど)、体重が減って食欲がない、むかつく、胃がもたれるといった症状がありましたら、ぜひ胃カメラを受けていただきたい、切にそう思います。

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