8月18日(木)
久々に雨が降り、猛暑の中休みといった感があります。ですが気温の変化で体調を崩すことも多いので、みなさまご注意ください。
早いもので開院4か月がたち、阿賀野市のみなさまにも徐々に周知していただいているようで、来院患者さんが途絶えることはあまりなくなった今日この頃です。
当ブログを見て来院される方も、ちらほらいらっしゃるようで、面はゆい思いがします。今後もあまり気張らず、書けるときに書けることをアップしていきますので、よろしくお願いいたします。
今回は低血糖についてです
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糖尿病は血糖値が上がり、その結果、血管・神経が傷害をきたし、結果的に脳や心臓などの重要臓器に合併症を引き起こす病気です。
医師は何とか血糖を下げようと、さまざまな薬で治療するのですが、薬の副作用でおきる低血糖は、高血糖よりも危険なことがあります。
低血糖により、脳細胞の唯一のエネルギーである、ブドウ糖の供給が長時間途絶えると、昏睡状態から死に至ることもあり得ます。
頻繁に低血糖を起こした患者さんには、その後、心筋梗塞や脳梗塞など血管の病気や、認知症が起こりやすいことがわかっています。。
小生が駆け出しの研修医の頃、救急外来に 「脳梗塞」 の初老の男性が搬送されてきました。
夜中にゴーゴーいびきを立てて冷や汗をいっぱいかいていて、起こそうとしても目を覚まさないので家族が救急要請したとのことでした。
救急採血をして点滴をつなぎ、採血結果が出るまでの間に頭部CTを撮ってみましたが、出血はなし。
脳梗塞はCT所見が明らかになるまで、数時間かかるため否定できませんでしたが、救急室に戻って採血結果を見ると、血糖が20mg/dl 以下まで低下していました(正常値は70-110前後)。(画像はノボ・ノルディスク社の糖尿病サイトhttp://www.club-dm.jp/column/より)
急いでブドウ糖を注射したところ、患者さんは数分後にはパッチリ目を覚まして会話も可能になりました。
本人と家族に問診すると、かかりつけの医院から糖尿病の治療のため、大量の経口血糖降下剤を処方されていることが判明しました。同時に高度の貧血があり、後日その患者さんには進行胃癌も見つかりました。
前医の漫然とした治療により、命の危険もあったのですが、その方は手術を受けて退院し、かかりつけ医も変更して元気に過ごしておられました。
一般に
「後から見るほど名医」
と医療業界では言われますが、できれば
「先生のおかげで早期に診断・治療できた」
と言われたいと思い、日常診療にいそしむ小生です…。
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