9月2日(金)
雨が続き風も吹きますが、蒸し暑い天候です。
当院近くの安野川は、7月末の大雨後、水の濁りが取れるまでまるまる1か月かかっていました。 週末に台風が本州に上陸するかもしれないとのこと。被害が最小限に食い止められることを願っています。
本日は腸閉塞についてのお話です。小生は、腸閉塞の発症に気圧が関係しているような印象を持っています。
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腸が詰まって便が出なくなり、激しい腹痛と便臭を伴う吐物を吐く、のが腸閉塞の典型的症状です。
(右は腸閉塞時のCT像。腸の襞が引き伸ばされ、内容物が充満しています)
大半の腸閉塞は腹部手術後の腸管癒着が原因のもので占められます。
胆石や胃・大腸の手術のほか、虫垂炎や婦人科の帝王切開などの手術後に数週間~数十年を経て発症します。
特に2回、3回と手術を重ねた場合、癒着が複数個所におよび、腸の動きが制限されるため、腸閉塞を起こしやすくなります。
また時に小腸や大腸に出来た腫瘍により通過障害をきたしたり、糖尿病性の自律神経障害などで腸の動きが麻痺して内容物を蠕動運動(ミミズが這うような、消化管の伸び縮みする動き)で肛門方向に送れなくなることでも発症します。
腸閉塞の治療の原則は、腸管内の減圧 です。
鼻から3m位あるチューブを食道~胃~小腸に挿入・留置して、腸の中にたまった便や腸液を吸出して、パンパンになった腸をしぼませ、癒着の部分を頂点にねじれた腸を元に戻してやります。
しかし、腸の血管も巻き込まれてねじれてしまった場合、血行障害によって腸が腐りますので、緊急手術が必要になります。
小生が勤務医だった頃は、寒冷前線が活発になって気圧が変化しやすい春と秋に患者さんが多く入院してきた記憶があり、腸閉塞のきっかけには気圧との関係があるのではないかと個人的には思っています。
腸閉塞の発症予防・保存的治療には、こんにゃくや野菜など不消化物は細かく切って調理し、その後緩下剤による便通管理と ”大建中湯” という漢方薬の内服を行ってもらいますが、残念ながらその効果には限界があります。
当院にかかりつけの腸閉塞患者さんには
「寒冷前線が通過する頃の春と秋には、体調に気を付け、腹痛とともに嘔吐があればすぐ医療機関へ」
と説明しています。でも結局、腸のご機嫌によるところが大きいと思います。
台風の通過に伴い、気圧の変化が大きくなる今週末、腹部手術を複数回受けたことがある方は、腸閉塞にご注意ください…
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