2014年7月30日水曜日

若い女性の腹痛はやっぱり難しい: 卵巣の嚢胞性疾患(卵巣嚢腫茎捻転、チョコレート嚢胞破裂) 2011年10月5日 記事

10月5日(水)
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 朝は曇っていましたが、昼から雨になってしまいました。
 
 気温は20℃以下で、1か月前まで30℃以上あったことが信じられません。風邪ひきで来院される方もこれまでになく、多くなっています。体調を崩さないようご留意ください。

 小生も9月末の風邪がようやく治りつつあります。そろそろインフルエンザの予防接種を受けないといけない季節ですし…少々焦りました。

本日は、若い女性の腹痛について、また書いてみました。

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 この夏(2011年)に 

ガングロコギャルのクラミジア性腹膜炎(フィッツ=ヒュー=カーティス症候群)と、

女を見たら妊娠と思え!

というブログ記事をアップしました。

 不惑を過ぎ、内科のキャリア20年となった今でも、いまだに日々の診療で驚くこともあります。

 先日も常習性の便秘で 1週間排便がなくても平気という二十歳の女性患者さんに驚いたり、腹痛で七転八倒している便秘がちの女子中学生を診察、採血、採尿、腹部エコーで異常なく、腹部写真で腸管ガスが多かったので、浣腸をかけ排便を促したら、けろりと軽快し独歩で帰宅したり…人体、特に女性は神秘、かもしれません。

 若い女性の腹痛には、そのほかに忘れてはいけない病気がありました。

 つい先日も当科で診断し、総合病院に救急搬送となり、即日開腹手術に至った症例がありましたので、関連記事として取り上げました。

 20代の女性が数日前から続く左下腹部痛を訴えて当院を来院しました。前日他院にかかったところ、便秘気味だったことから下剤と痛み止めを処方されたものの、効果がないため当科にかかったとおっしゃっていました。

 ベッドに横になっていた患者さんは、痛みのため顔面は蒼白で無欲状、受け答えしている最中も、痛みのため言葉が途切れがちでしたが、2か月以内の性交歴がなく、妊娠している可能性はないこと、3日間便秘していて、痛みはだんだんひどくなり、吐き気を伴うこと、腹部手術歴がないことを確認しました。

 腹部写真では腸閉塞は否定的で、採血では軽度の炎症反応をみとめるものの、貧血はありませんでした。
 腹部エコーでは腹部臓器に異常なし、腹水なし。
 骨盤腔内を見てみると、子宮と膀胱の間、左側に8㎝くらいの嚢胞状エコーが疑われました(腸管ガスも多かったため、再現性にやや難がありましたが…)。

 強い痛みどめを注射したものの、痛みは完全には取れず、顔色が不良、軽度の炎症を伴って、骨盤腔内に嚢胞を認めることから、卵巣嚢腫による婦人科の救急と考え、時間外でしたが総合病院に紹介しました。

 3日後に紹介先からの返事で、

”卵巣嚢腫の茎捻転”

の診断で即日開腹手術を行ったと知りました。

111005keinenten 「後から見るほど名医」 とはいえ、小生はほっと胸をなでおろしました。

 学生時代、産婦人科の救急として、子宮外妊娠卵巣嚢腫の茎捻転は、専門を問わず知っておけと講義でくどくど言われていましたが、今回はその教官の先生に感謝しました。(右の図は以下から抜粋させていただきました)
http://www.jomo-news.co.jp/kenko-tsushin/kenko00111.html

 卵巣男性の金的に当たる臓器ですので、そこがねじれてしまったら、想像を絶する苦痛を招くと思われます。

 茎捻転のほか、チョコレート嚢胞の切迫破裂という症例にも遭ったことがあります。

 やはり妊娠は否定的な20代の健康女性が、以前から時々便秘と腹痛を自覚していたそうでしたが、ある日突然耐えられない下腹部痛をきたして小生を受診、その際やはり腹部エコーで小児頭大の嚢胞を認め、産婦人科に相談したところ、

”子宮内膜症に伴うチョコレート嚢胞の切迫破裂”

と診断されました(右図は下記から抜粋させていただきました)。
111005choco http://allabout.co.jp/gm/gc/299886/2/

 子宮内膜症は不妊の原因になることもあるそうで、重症例は産婦人科での手術治療が必要とのことです。

 なんにせよ、「おなかのお医者」は老若男女を問わず対応せざるを得ないので、日々気が抜けません。

でも、時々、専門外の病気をみつけて、どや顔になり、ひととき自己満足に浸るのが、唯一の慰めです…。 




当ブログ内 関連記事

2011年8月 ガングロコギャルに多かった右上腹部痛 Fitz-Hugh-Curtis症候群
http://utida-naika.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/08/fitzhughcurtis_.html

2011年8月 ”女をみたら妊娠と思え” 救急現場での金言
http://utida-naika.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/08/post_45ca.html

2011年10月 かといって高齢女性の腹痛も油断が出来ない: 閉鎖孔ヘルニアという病気http://utida-naika.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/10/post_3cf0.html

2012年7月 症例13,14 最近経験した地雷的症例2例 ツツガムシ病と子宮外妊娠
http://utida-naika.blog.ocn.ne.jp/blog/2012/07/post_e3ff.html

2012年9月 続・若い女性の腹痛~忘れちゃいけない ”卵巣出血” 意外と多いかも…http://utida-naika.blog.ocn.ne.jp/blog/2012/09/post_e88c.html

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