2014年8月3日日曜日

Obesity Crisis その5 肥満大国アメリカ ダイエット合宿と胃縮小手術 朝日新聞GLOBE 平成24年5月6日(日)  2012年6月2日 記事

120602tokimese6月2日(土) 晴

 本日は朱鷺メッセで内科学会の地方会がありました。明日役に立つかもしれない、いろいろな症例の報告を聞いておくことは大切です。

 さて、本日は
朝日新聞 GLOBE 肥満特集 その5 をアップしました。

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肥満大国アメリカ 家で痩せられないなら合宿しかない

 米国内ダイエット市場推計値 609億ドル ≒ 4.8兆円 (ちなみに日本の国家予算は90兆円前後!)  

 ウェルスプリング・アカデミー ~ 日常のすべては痩せるため。カリフォルニア州の田園地帯に、世界から子供たちが集まる

 満大国アメリカでも珍しい、減量を専門とする寄宿学校があるとの情報から、カリフォルニア州のウェルスプリング・アカデミー(以下 "ウェルス" と略)を記者が訪ねた。同様の施設はノースカロライナ州にもう一つあるだけだという。

 "ウェルス" で生徒C君(17歳)に勧められた減量用ハンバーガーを記者も食べたが、ぱさぱさのパンは82kcal、これまたぱさぱさの七面鳥肉は45kcal、脂肪分は1gしかなかった。

 ”ウェルス” に入学すると、3食で1200kcal/日、脂肪は20g/日以下と徹底的に管理される。食事後、生徒たちはメニューとカロリーを記録していた。
 
”ウェルス”ではC君のような思春期の13歳~18歳の男女24人(中にはギリシャ、モロッコなど海外出身者もいる)が共同生活を送る。1か月の費用は50万円…裕福でなければ減量合宿の門をくぐれない…

 アメリカ中西部のオクラホマから親元を離れて来ていたC君は人懐こかったが、両手首にはカッターの切り傷が何本も見える。中学時代、太っていることをからかわれ、痩せろと言われるのがプレッシャーで自傷行為に走ったのだ。

 「自信を取り戻すためにここに来た。新しい男に生まれ変わりたい」 と彼は言った。”ウェルス”に来て3週間で10kgやせて体重は110kgだ。

 アフリカのナミビアから来た15歳の少女の好物はピザ、ピーナッツバター、牛肉…これまでダイエットしてはリバウンドを繰り返していた。”ウェルス”にきて3か月で15kg減量し108kgになったという。

 学校では携帯、インターネット、テレビなどの使用制限がある。時には親を招き同じ食事を食べてもらうこともある。しかし思い通りに減量できない子供も少なくない。

 カウンセラーのマーシーは子供たちが”ウェルス”を出た後も連絡を取り食生活の助言をおこなっている 「悩みを聞いてあげて解決方法を一緒に探すのが大切なんです」。
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究極のダイエット? 胃縮小手術で胃がゴルフボール大に


 肥満大国のアメリカで、あらゆるダイエットに失敗した人が最後にたどり着くのが胃の縮小手術だ。

 五大湖沿岸オハイオ州クリーブランドにあり、心臓外科で世界トップクラスの病院として名高い「クリーブランド・クリニック」は年間700件近い、胃の縮小手術も手掛けている。

 2011年2月に手術をうけた52歳の女性、ワンダに話を聞いた。 

 「夫や娘が喜んでくれて手術してよかった」。

 かつては外食先で家族が残したものも食べていたが、手術後はフライドチキンのにおいをかいでも食べたいとは思わなくなった。

 約120kgあった体重は71kgになり、服のサイズは半分になった。

 ワンダがうけた胃の縮小手術は費用が200万円前後かかるが、北米では乳がんの手術を同じくらい普及しており、手術件数はアメリカ・カナダを合わせて年間約22万件にのぼる。

 手術術式は大きく分けて3つある。

 [ ① 胃を切断・小さく縫い縮めて小腸につなぐ(右図参照) 
  ② 胃を細くするために外側を切除・縫合する 
  ③ 胃の上部をバンドで縛る (ともに下図参照) ] 

 ①では胃の容量がラグビーボール → ゴルフボール 大になるが、いずれの方法も物理的に食べられる量を抑え、食欲を抑えるのが目的である。

 しかし、吸収が障害されるビタミンを一生内服して補う必要があり、術後の吐き気や時間とともに胃が引き伸ばされて効果が不十分になる症例もあるため、術後のケアが不可欠であるという。

 クリーブランド・クリニック外科医で年間約350件の手術を手掛けるシャウワー医師は

 「 手術は減量の最も効果的な手段であり続けるでしょう 」 

 と話した。

 今は胃を小さくたたみこむという新たな術式に力を入れており、入院せずに術後数時間で帰宅できるという。

 体重が540kg(≒小錦2人分! または 軽自動車1台分!あった20歳代の男性は、合計4回の胃縮小手術で、体重を3分の1の180kg まで落とした。

 120602himanope2日本国内でも胃の縮小手術は徐々に件数が増えている。

 胃縮小手術の国内の第一人者(東京・四谷メディカルキューブ)、笠間和典氏は2002年以降の10年間に450件以上の手術を手掛けてきた。

 笠間氏いわく、手術で糖尿病が劇的に改善することが多いとのこと。

※ 以下小生注

腹腔鏡下スリーブ状胃切除術」は先進医療として承認されており、岩手医科大学附属病院と大分大学医学部附属病院で受けることができるそうです。ちなみに岩手医科大学附属病院での手術費用は約35万円とのことでした。詳しくは以下の 

”先進医療.net”


岩手医科大学付属病院の先進医療の取り組み

をご参照願います。
 その他、「ポッチャリ系ブーム、専門店も」 というラージサイズ専門店の紹介も乗っていました。

 アメリカでは高度肥満の人のため用品店では、シートベルト延長バンドや、おなかが邪魔して爪が切れない人(小生にも覚えがあります(^_^;))用の柄のついた爪切りなども売られているそうです。すごいですね…。

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