2014年8月3日日曜日

症例13,14 最近経験した地雷的症例2例 ツツガムシ病と子宮外妊娠   2012年7月16日 記事

120716sekiyahama 7月16日(月) 海の日 晴れ

 昨日は浜の花火を家族と見てきました。

 花火はきれいで素晴らしかったのですが、海岸道路に違法駐車車両が列をなし、いつものことなのでしょうか興ざめして帰ってきました。

 本日は休日当番です。平常業務の時もそうですが、一見さんのどんな症例が来るか、気が抜けません。

 そういえば、この1か月であわや?!と感じた症例を2例経験しましたのでご報告いたします。

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その1  

 若い男性で、以前から糖尿病を患っていたとのこと。
 
 1週間38度前後の発熱が続くため当院に来院しました。その際、左くるぶしが赤くはれたが痛みはないとおっしゃっていました。

 採血で中等度の炎症がある割に白血球は正常範囲でしたので、急性気管支炎として抗生剤を加えた対症療法を行いました。

 偽痛風という病気もうたがいましたが、その後まったく解熱せずかえって40℃前後と高熱になってしまいました。

 再び採血すると、炎症は不変、白血球をはじめヘモグロビン、血小板といった血液の細胞成分が軒並み減少傾向となっており、黄疸はないものの肝機能障害が見られました。くるぶしの発赤は不変でした。

 腹部超音波では脂肪肝もほとんどない割に、脾臓がやや大きめに見え、ひょっとして血液系の腫瘍とそれによる免疫の低下による敗血症か?と急いでご希望の総合病院に紹介しました。

 数日後届いた診断結果は ツツガムシ病 とのこと。教科書的な赤黒い刺し口は見つけられなかったので、残念です。

 100年前には、ここ阿賀野川流域では年間200人の死者を出していた ツツガムシ病 は、当地では決して忘れてはならない病気だと再認識させられました。

その2

 数日前膀胱炎で診察した女性が、下腹痛を訴えて夕方終診間際に来院。来院してからは痛みがほとんどなくなったが、医院に来る前は痛くて歩けなかったとのこと。

 女を見たら妊娠と思え の金言どおり、膀胱炎の時も 

「妊娠している可能性はありませんか?」 

 と問診しましたが、否ということだったので抗生剤を処方しました。

 再来時、「歩けないくらいの下腹痛があった」と聞いて考え直し、質問の内容を

 「ここ2か月間に性交しませんでしたか?」 

に変えたところ、覚えがあるとのこと。

 即、妊娠反応をチェックし陽性

 腹部エコーでは腹腔内に液体(腹水?出血?)貯留がみられ、右の卵巣が腫大しているように見えました。以上より小生が下した診断は子宮外妊娠疑いでした。

 自然に痛みの治まった患者さんには 夜間にまた激しい腹痛が来たら、救急病院に行くようにと念を押し、近医産婦人科に紹介状を書いてお渡ししました。
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 数日後の返信で、産婦人科受診時、右卵巣妊娠の診断にて即日手術になったとのこと。

 冷汗三斗…いやはやなんとも。

 女性に 「妊娠の可能性」 を儀礼的に聞いても無駄なのかも…と、なんらかの対策が必要と考えましたが、当科に来院した妊娠可能年齢の患者さん全員に、性生活の頻度まで尋ねるのも、ちょっとなあー。お互い抵抗がありますなー。

 「妊娠の可能性」

と尋ねられて、こちらの糸を理解したうえで、正確に答えてもらえるような、なにか良い知恵はないでしょうか…。

右の 卵管妊娠 の画像は以下から引用させていただきました。
http://www.geocities.jp/gyendoscopy/


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