2014年8月2日土曜日

人が経験しうる三大激痛・不動のメンバー…尿管結石について   2012年4月8日 記事

4月8日(日) 曇のち晴

 爆弾低気圧の後には雪が降り、相変わらず不順な天候の阿賀野市です。桜の開花が待ち遠しいところですが、この寒さではまだ1週間はかかりそうです。

 インフルエンザはだいぶ下火になりましたが、平熱の患者様でも 

「どうもクサイなぁ?(ニオイでは無くインフルエンザを否定できないという意味です)」 

と思う方には抗原検査をしてみると、高い確率でB型インフルエンザが陽性になっています。くせ者のB型インフルが密かに感染し続けていますので、マスクとうがい手洗いはお続け願います。

 さて本日は尿管結石についてお話します。

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 医学生の頃、先輩から

 「三大激痛」って知ってるか?

と聞かれました。

 その時は「癌の末期痛」、「陣痛」、「尿管結石」と答えましたが、しらべてみると 諸説あるようです。以下

「陣痛、歯痛、尿管結石
「群発頭痛 心筋梗塞 尿管結石
「膵炎 胆石 尿管結石
「痛風 中耳炎 尿管結石」   

他にも、クモ膜下出血、三叉神経痛(顔面神経痛)、腸閉塞
解離性大動脈瘤、喉頭ガン、帯状疱疹など
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 上に挙げた三大激痛の中には必ず尿管結石が入っています。

 外来診療でよくお目にかかる尿管結石ですが、おそらくそのほとんどは救急搬送された病院の救急外来で診断されることが多いはずです。

 尿路結石とは、尿中のカルシウムやアミノ酸成分、プリン体等が時間をかけて固まったもので、腎臓にできた結晶成分を核として発生・成長するそうです。

 腎臓の中や、膀胱・尿道に結石があっても、痛みを伴わないこともしばしばで、問題になるのは尿管結石です。

 腎臓で出来た結石が尿の流れにのって尿管に下がってくると、尿管内腔は狭い(直径4mm)ので引っかかって尿管が痙攀し、尿管結石独特の疝痛(センツウ: 胃腸などの内臓を形作る平滑筋の異常収縮によって生じ、痛みには波があるようで,数分~数時間の間隔で周期的に反復する)が引き起こされ、また肉眼的血尿も伴います。

 尿管には膀胱に至るまでに3ヶ所狭窄部があり、結石が引っかかる度に疝痛が生じることになります。

 引っかかった結石が尿の流れを堰止めると、上部尿管・腎盂が尿で拡張し、腹部エコーで ”水腎症(尿でダム状に水ぶくれになった腎臓)”として認められるようになります。水腎症が長く続くと、腎機能が低下し、腎不全になって回復しなくなってしまうこともあります。

 尿管結石の発作直接死亡に関わることはまず無いものの、”死ぬほど痛い”ので成人男性でも悲鳴をあげることもあります。

 韓国から親善試合で来日していた身長190cm体重120kgの男子柔道選手が、身体のほとんどがはみ出た救急室のベッドの上で、嗚咽を漏らしながら白目になり、口から泡を吹いてのたうち回っていたのを、当直の際診たことがあります。

 鎮痛剤を通常の4倍量投与してようやく落ち着いたもののふらふらになってしまい、試合どころの話では無くなりチームのコーチに即刻飛行機で帰国するように勧めました。
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 開業後も何度か尿管結石の方を診察しました。

 典型的な経過は、突然右または左の背中が痛くなり、時間とともに脇腹に痛みが移動、最後は鼡径部(脚の付け根付近)に疝痛を生じます。

 肉眼的血尿があれば即診断できますが、尿検査でも潜血が弱陽性のこともあり、腹部エコー検査で水腎症があれば確定診断となります。

 腹部単純写真も撮ることは取りますが、石灰化を伴わない結石は写らないので、腹部エコー検査の方が検出感度に優れます。

 小さな尿管結石の治療法は水分を多く取って尿量を増やし洗い流す方法がとられています。

 特に男性で、排尿時に便器に結石がぶつかる 「カチッ」 という音がして排石されることあります。ある程度の大きさのものは、体外衝撃波で結石を破砕するESWLという治療が取られます。いよいよ大きなものは手術で取り出すしかありません。

 結石の予防法は脱水にならないように水分を多く取り、尿量を多くすること、結石の成分になり得るシュウ酸はほうれん草、チョコレート、 ココア、ナッツ、 お茶の葉、だいおう、コーヒー)やプリン体(肉、イカ、海老、ビール、枝豆、魚卵の多い食品アルコール、油脂成分を制限すること、結石は夜寝ている間に作られると言われており、寝る食前に食事を取らないことなどがあります。

 具体例としては、深夜遅くまで宴会を連チャンしていたりすると、尿管結石を育てることになるということです。

 男は女性に比べて痛みに弱いと一般的にいわれ、かく申す小生も例外ではありません。尿管結石の痛み、出来れば死ぬまで経験しなくてすんだらいいなあ、とひたすら願う小生です。

(二つの図は以下より引用させいていただきました

 http://www.agapen.com/urine/nyorokesseki/nyorokessekipage.htm

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