2014年7月30日水曜日

症例7 女性の神秘~難治性の下痢を治したのは、誰?  2012年1月6日 記事

1月6日(金) 雪

 冬型の気圧配置が居座り、当地はこれからずっと雪の予報です。

 朝夕は路面が凍結しますので、近隣の皆様は車の運転にご注意くださるようお願いいたします。

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 10年ほど前に研修制度が激変し、あおりをくらって地域医療が崩壊状態となって久しくなります。

 現在は大学病院の研修医確保が難しくなりましたが、20年前は大学医学部の医局制度が健在でした。
 若き日の小生も市中病院で研修後、大学の消化器・肝臓内科に入局し大学病院の病棟で働いていました。

 大学病院は全県からさまざまな消化器疾患の患者さんが入れ替わりで紹介入院し、目も回る忙しさでした。
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 ある日、大学病院に中年の女性が、一日10回以上もトイレに通う難治性下痢を主訴として紹介されてきました。

 小生が入院主治医になり、気負っていろいろな検査を行ってみたものの、入院後1か月たっても原因不明で、整腸剤や止痢剤による治療も効果に乏しい状態が続きました…

 まれで特殊な遺伝病海外の寄生虫症についても調べてみましたが、異常なし。

 下痢は続くものの、本人もどちらかと言えばあっけらかんとしていて

「下痢で死ぬわけでもないし…」

と深刻には考えない傾向の方でした。

 主治医の小生も、まあ本人がそうおっしゃるなら、多少下痢傾向があっても生活に支障がなければいいか…と考え始めていました。

 しかし、入院2か月目からなぜか便秘が軽快し、それまで何年間も不順だった月経も正常化したとの報告を彼女自身から受けました。
 
 患者さんの苦痛が軽減されたことは喜ばしいのですが、あれだけ小生の頭を悩ませた症状が軽快したのは何故?

 「おめでとう、よかったねぇ!」

 というお祝いの代わりに、小生の口をついて出た言葉は

 「え?なんで?」…

 訝しげな表情の小生を尻目に、下痢が治った喜びの他にもう一つうれしい事があった彼女がニコニコ微笑みながら、下痢が治ったきっかけを教えてくれました。

 入院中に魅力的な中年男性と知り合い、徐々に親しくしているうちに下痢は軽快、生理不順も解消した、
探していた人に巡り会ったって感じ、退院したら同棲する予定、とのことでした。

 難治性の「心因性の下痢(?)」 が治った彼女は、数日後元気に退院していきました。

 この一件で人間、ことに女性の心と体の不思議さを思い知らされました。あれから20年、不惑を超えてもいまだに 「女」 が分らない小生です… (^_^;) 

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