2014年7月25日金曜日

脱帽!自分で医学書を勉強し、難病を診断した患者さん: 医師の盲点・予断を反省 2011年6月22日記事

 今朝は薄曇り。体調の回復した犬と散歩しましたが、あまり暑くなくありがたい天候でした。

 本日は回想ネタを一つ…。

 先日、患者さんがほとんどいらっしゃらない日がありました。医者は他人の病気をネタに商売しているようなもの、地域の人々が健康ならば本来は喜ぶべきことですが、弱小新規開業医の小生は少しブルーでした。そんなてもちぶさたな診療日の話です。

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 診察時間の終わり際に、検診異常で来院された女性の問診で、過去にかかった病気をうかがうと、医学部の教科書には必ず載ってはいるものの、実際に出遭うのはまれな症候群にかかり大学で手術をしたとのこと。

 日常的に接する患者といえば、風邪と下痢の方が過半数を占めている小生は、彼女の診断の経緯にいたく興味をひかれ、お話しを続けてもらいました。

 その症候群は、以前とは体型が著しく変わってしまうものだったため、女性自身は必死で診断がつくまでの2年間は、あちこちの病院・医院を10か所近く転々としたものの、原因不明…しまいにノイローゼ気味になり、治療のために入院したそうです。

 その病院には図書館があり、

 「自分の病気をが何か、医者がわからないんだったら、自分で調べたい!」

と、そこに毎日通って医学書を読んだところ自分の症状や外観とまさにそっくりのイラストを見つけ、そこから診断の糸口が得られたとのこと。

 今は治療により、病気になる前の体型に戻った彼女は、淡々とそのエピソードを語ってくれました。

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 小生を含めて医者は、目の前の患者さんの訴えや症状を見て、疾患候補をあげて検査や治療を行います。しかし知識としては頭の中に蓄えられていても、

 「まさか目の前の患者がそんな病気のはずがない」

という予断を持ってしまうと、見れども見えず、患者さんは不幸なドクターショッピングを繰り返し、漂流することになってしまうのだと、お話をうかがって小生は再考されられました。


「勉強しない内科医と、手術の下手な外科医は犯罪者も同然だ」
110622sinsatsu
 上のフレーズは、研修医時代、先輩医師がよく言っていた言葉で、時々思い出しています。

 全く同感。

 可能な限り勉強して医学の進歩についていくことも大事。

 同時にすでに持っている知識を即座に実地に応用できるように、予断におぼれないことも大事。

 もう五十路が見えてきた小生ですが、気の引き締まる思いをした暇な日の午後でした。

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