2014年7月26日土曜日

検診結果のみかた その7 肝機能(”かんきのう”)について  2011年6月27日 記事

 毎日梅雨空が続き、気持ちも もやもやしてきます。皆さま体調管理にご留意ください。

 うちの犬は運動不足と欲求不満で家の中を駆け回っています。梅雨明けするとすぐ夏本番ですが、電力不足もあり、どんな夏になるか見当がつかず、新規開業の小生は戦々恐々としています。

***********************************

 本日は、肝機能障害についてお話します。
 一口に肝機能とひとくくりされていますが、項目によっては肝臓だけではなく、胆のう、膵臓、筋肉、骨の異常を反映することがあり、肝機能の数字だけをあげつらっても、漏れが多くなる恐れがあり、あえて異常値の設定は行いません。

 「肝機能異常」を指摘されたら、医療機関を受診し、内科医、可能ならば肝臓専門医にご相談いただくことをお勧めいたします。
一応、各項目の説明をしておきます。

ビリルビン (そのうち総ビリルビン T-Bilのみに関して) : 
 黄疸の有無を示します。値が3以上になると白目や皮膚が黄色くなったりして黄疸の存在に気づきます。またかゆみを伴うため、体にひっかき傷がみられることもあります。
 胆石に伴う黄疸は、腹痛や発熱を伴うことが一般的です。黄疸のほかにそれらの症状のない場合には、胆管癌・胆のう癌、膵癌を疑い精密検査が必要です。まれに体質性黄疸という遺伝性の黄疸が見られることもあります。

GOT(AST) 
 肝機能といった時の代表項目の一つで、検診の必須項目ですが、次項のGPT(ALT)ほど肝臓に特異的な項目ではありません
 肝臓の病気のほかに、筋肉の障害や溶血(赤血球が破壊された場合)の際にも上昇します。

GPT(ALT): 
 肝臓に特異的な、肝機能の代表項目です。肝炎、脂肪肝、アルコール性肝障害などで上昇します。

LDH: 
 細胞が破壊されると上昇します。肝臓の病気のほか、骨の障害でも上昇します。
 白血病などの悪性腫瘍の際は異常上昇がみられます。

※ 以前、LDHとALPが高値の高齢男性の精密検査をしたところ、肝臓は異常なく「前立腺癌の骨転移」と診断されたことがありました。

ALP: 
 黄疸の際は次項のγGTPとともに上昇します。胆のう~胆管に異常があると上昇しますが、LDHと同様、骨の異常でも上昇します。

γGTP
 ALPと同様に黄疸、胆道系の異常で上昇します。ですが、アルコール性肝障害で引っかかることが多く、酒飲みの方にはなじみが深い項目だと思います。 総ビリルビン、ALPと合わせて上昇しているときには、胆道癌や膵臓癌の可能性が否定できないため、腹部エコーによるスクリーニングや腹部CTによる精密検査をお勧めします。 

************************************

 小生はいまを去ること20年前、新潟大学第3内科で肝臓の病気: ”原発性胆汁性肝硬変” を研究していた時期があり、肝臓病に興味を持っていました。

 その後、さらに勉強して ”日本肝臓学会肝臓専門医” の資格を取得しました。かといって肝臓のすべてを知っているわけではありませんが、比較的まれな肝臓疾患に遭遇した経験もありますので、肝機能異常に関してご心配な方も、当院にご相談いただけたらと思います。

うちだ内科医院 tel 0250-61-2020 阿賀野市市野山 サムズウオロク水原店ウラ

0 件のコメント:

コメントを投稿