2014年12月8日月曜日

平成26年12月8日(月) 明治時代のスーパー探検家かつ宗教家の残した旅行記が滅法面白い チベット旅行記 河口慧海 講談社学術文庫 1巻~5巻

12月8日(月) 曇り 

 当地は先週末、一時降雪で一面銀世界になりましたが、その後雨が降ってかなり融雪がすすみ、ホッとしています。

 12月6日(土)は午前4時半に犬と共に起床し、自宅の除雪を行ってから5時過ぎに出勤、医院駐車場の除雪を行い、診療には支障が出ないように苦労しました。雪かきのおかげであちこちが筋肉痛です。

 メディアでは例年よりも早くインフルエンザの流行期に突入したと報じていおり、先週までは当院ではまだインフルエンザ検査で陽性は出ていませんでしたが、本日立て続けに4人、A型が陽性となりました。いよいよ阿賀野市でもインフルエンザ流行が始まってしまいました…

 まだインフルエンザの予防接種が済んでいない方もいらっしゃるようですが、そのような方には来シーズンは10月中の予防接種をお勧めしています。

 さて、本日は久しぶりに書籍をご紹介いたします。

 チベット旅行記 河口慧海 講談社学術文庫 1巻~5巻 です。

インドに発生した後、中国を経由して日本に伝来する間に修飾をうけた仏教の教義に疑問を抱いた明治時代の青年僧・河口慧海。

 古代仏教の本来の姿を求めて、周到な準備を経て数々の困難を乗り越えて当時厳重な鎖国状態だったチベットに潜入。現地では中国からきた留学僧と身分を偽って修行する傍らにチベットの自然、動植物や風俗について知りえたことを書き綴った旅行記です。

 購入した当初は、どうせ抹香臭い坊さんが仏教に陶酔して書いた宗教書だろう、と思って期待せずに読み始めましたが、予想に反してこれがまためっぽう面白い。

 最初はインドの奥地で体を高地に馴らしつつ、チベット語を学び、チベットに関する入国情報を収集。熟慮の結果、チベット行ルートは、わざと遠回りをして、聖地カイラス山を回ってまんまと難関を突破。人並ならない情熱も会ったのでしょうが、この人は狡猾といってもいいくらい智慧が回ります。

 慧海師は文才もあり、今はもう死語となってしまったであろう漢語を自在に駆使してヒマラヤの絶景や、命懸けのチベット潜入の経緯を独特の口調で語り、ついつい先を読んでしまうという体で、全5巻を3日で読んでしまいました。

 3巻以降ではチベットでの暮らしや風俗、政治についての描写の際には、慧海師の辛辣な批判がならび、1巻、2巻のチベット潜入までの爽快な描写が少なくなってしまい残念でしたが、その代り身分を偽って入国したことがばれてからの迅速な撤退の描写も躍動感があり、そこらの三文小説よりははるかに面白い旅行譚でした。
 忙しくて現実の旅にはなかなか行けない、インドアトラベラーにはお勧めだと思うです(ちょっと慧海チック)。


0 件のコメント:

コメントを投稿